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令和2年9月定例会の知事議案説明要旨

当初提出議案(令和2年9月10日)

 提案理由を説明させていただく前に、発言をお許しいただきたいと思います。
 8月20日の臨時記者会見において、新型コロナウイルスに感染され、自宅療養し、経過観察の期間を終えた方を「無罪放免」と発言しました。
 この発言は、新型コロナウイルスに感染したことが罪であるととらえられかねない不適切なものでありました。感染された方々への偏見や誹謗中傷は、差別を恐れて受診をためらうことにつながり、結果的にさらなる感染の拡大を招きかねません。県知事であり、また、新型コロナウイルス感染症対策本部長でもあるにもかかわらず、今回、その場で陳謝し撤回したとはいえ、このような発言をしてしまいましたことを改めて深く反省しております。感染された方々をはじめ、県民の皆様及び県民の代表である県議会の皆様に心からお詫び申し上げます。
 今後、感染された方、医療関係者や社会を支えていただいている皆様、そのご家族に対する差別を生まない社会に向けて全力を尽くしていくことを、ここにお誓い申し上げます。
 また、飲食店に対する感染防止対策の助成金につきまして、感染防止を早期に徹底したいとの思いから、県議会においてご審議いただく前の段階であるにもかかわらず、記者会見において実施時期を9月7日と発言してしまいました。
 その内容、実施時期については、県議会へ事前にご相談し、ご理解を得るべきでしたが、これが出来ていなかったため、9月3日に実施時期の撤回をさせていただいたところです。
 事業者の皆様に混乱を生じさせるとともに、県議会との信頼関係を損なう結果になったことを深く反省し、お詫びさせていただきます。誠に申し訳ございませんでした。
 今後は、県議会との信頼関係を深め、更なる県政の発展に努力を続けてまいる所存であります。

 本日ここに、第8回福岡県議会定例会を招集いたしましたところ、議員の皆様におかれましては、ご参集いただき、厚くお礼申し上げます。

 このたびの「令和2年7月豪雨」により、全国各地で甚大な被害が発生し、本県においても、2名の尊い命が失われ、家屋や事業所、道路、河川、農地、林地、農業用施設、農作物などに被害が発生しました。
 また、先日の台風第10号でも被害が発生しております。
 お亡くなりになられた方に対し深く哀悼の意を表し、被災されたすべての皆様に心からお見舞いを申し上げます。

 さて、県では、7月中旬以降、新規感染者及び経路不明者が増加し、病床稼働率も上昇したため、8月5日、「福岡コロナ警報」を発動し、病床の準備などの医療提供体制の整備を要請いたしました。また、事業者の皆様には、業種別ガイドラインを遵守し、感染防止対策に取り組み、その旨を掲示することを、県民の皆様には、業種別ガイドラインを遵守していない店の利用を自粛することなどを要請いたしました。
 病床の稼働率は未だ予断を許さない状況にあるため、警報は引き続き発動しておりますが、新規感染者の減少傾向と飲食店等におけるクラスターの減少から、福岡市内における業種別ガイドラインを遵守していない飲食店への休業協力、県民の皆様に対する、会食や飲み会等は2時間以内とし、2次会、3次会等は控えることなど、期間限定でお願いしていた要請は全て解除したところです。
 今後、ワクチンや治療薬が開発されるまで、新型コロナウイルス感染症と長く向き合っていかなければなりません。本県は、感染者の症状に合わせて適切な治療を行う医療提供体制の維持、確保を中心に据え、社会経済活動と感染防止対策を両立させていくこととしております。その際、外出自粛、休業要請など、強い措置を長期間続けることは難しく、県民や事業者の皆様の意識、行動、事業のやり方を変え、社会全体で感染防止を図っていくことが基本となると考えております。
 県民の皆様には、「人にうつさない」、「人からうつされない」、「感染しているかもしれない」という意識を常に持ちながら、感染拡大を予防する「新しい生活様式」を実践していただき、そして、事業者の皆様には、業種別ガイドラインの遵守など、徹底した感染防止対策を確実に講じていただくことをお願いします。

 この議会に提案いたしております議案は、24件であります。その内訳は、予算議案2件、条例議案9件、専決処分したものについて報告し承認を求める議案1件、工事請負契約の締結に関する議案2件、経費負担に関する議案6件、財産の取得に関する議案1件、人事に関する議案3件であります。

 まず、予算議案について、ご説明申し上げます。
 今回の補正予算は、新型コロナウイルス感染症対策、豪雨災害の復旧・復興に要する経費のほか、安全・安心、地域防災力の強化等に必要な経費を措置しております。
 補正予算の額は、一般会計で636億9200万円余、企業会計では、工業用地造成事業会計で2億3300万円余であります。
 その結果、一般会計の総額は、2兆1520億7200万円余となります。
 一般会計の歳入は、国庫支出金及び県債等の特定財源のほか、「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」、繰越金等を計上しております。

 次に、補正予算の主な項目について、ご説明申し上げます。
 まず、新型コロナウイルス感染症対策であります。
 第1は、「医療提供体制の強化と感染防止対策の徹底」であります。
 医療提供体制を強化するため、県内3か所の保健所に抗原定量検査機器を導入し、1日当たりの検査件数を1800件に拡大するための経費のほか、県医師会が行う「新型コロナウイルス専用外来」の設置箇所の拡大、開設期間の延長に対する助成費を措置しております。
 また、無症状者等の療養生活を支援する宿泊施設の借上期間を延長するための経費を計上したほか、入院患者数の増加に伴い、受入医療機関及び医療従事者に対する支援金を増額しております。
 感染防止対策を徹底するため、業種別ガイドラインに従って、マスク、消毒液購入等の感染防止対策を講じた飲食店に対する助成金を措置するほか、保健衛生等の専門知識を有するアドバイザーを飲食店等に派遣するための経費、感染防止対策を講じている店舗を飲食店紹介サイト内で紹介するための経費を計上しております。
 また、警察署の取調べ室、交番及び駐在所に飛沫感染防止のためのアクリル板を設置する経費のほか、介護サービス事業所、児童養護施設等が行うマスク、消毒液の購入、多機能型簡易居室の整備等に対する助成費を措置しております。
 さらに、県立学校又は私立学校が修学旅行の中止等を行った際に保護者が支払ったキャンセル料を補てんいたします。
 このほか、感染症に関する不安や疑問に対応するためのコールセンターの相談員の増員及びテレビ、新聞、SNS等を活用した広報に要する経費を計上しております。

 第2は、「雇用対策の強化と生活困窮者の支援」であります。
 建設、福祉、農業等の人材不足分野の求人開拓や企業の採用力向上を支援するため、若者、中高年、子育て女性といった年代別及び対象別の就職支援センターの求人開拓専門員の配置に要する経費を計上しております。
 また、ウェブを活用して行う新規学卒者や子育て女性等を対象とした合同会社説明会及びUIJターン就職を促進するインターンシップの実施に要する経費のほか、障がいのある方の就職を支援するため、テレワークに必要なIT技術訓練の実施に要する経費を計上しました。
 さらに、県立学校及び私立高校への就職指導員の配置に要する経費を計上しております。
 生活困窮者の支援では、失業等により収入が減少し生活に困っている方を支援するため、その一時的な生計を維持する生活福祉資金の原資を増額するための経費を措置しております。

 第3は、「『新しい生活様式』を踏まえた地域経済の活性化」であります。
 中小企業におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するため、工業技術センターに設計、開発、製造技術のデジタル化を指導するための機器を導入する経費を計上するとともに、ものづくり、医療福祉及び農林水産業の分野におけるDXを促進するためのシステム開発を行う県内IT企業に対する助成費を措置しております。
 また、IT技術等を活用した非接触、非対面ビジネスモデルや治療薬、医療機器など、コロナ禍における新たなビジネスに特化したベンチャーマーケットの開催及び全国への情報発信に要する経費を計上しました。
 観光を振興する観点から、本県を修学旅行の行程に組み込んだ県内外の学校に対し、バス代を助成します。
 農林水産業の振興では、スマート農業機械、設備の導入経費及び技能実習生の出国が困難になったことに伴う賃金の掛かり増し経費に対する助成費を措置しております。
 また、県産ブランド農林水産物の販路拡大のため、「秋王」「甘うぃ」等の県産高級果実のウェブ商談の実施及び首都圏、関西圏の外食事業者が「福岡フェア」で使用する食材の輸送費の支援に要する経費を計上しております。
 地域の公共交通を確保、維持していくため、外出自粛等により乗客が減少している地域鉄道、乗合バス事業者の事業継続のための支援金を措置しております。
 文化芸術活動の再開支援として、文化芸術団体等に対し、公演開催に必要な施設借上料に対する助成費を措置しております。
 健康づくりを推進するため、「ふくおか健康ポイントアプリ」にバーチャルウォークラリーや体力測定の機能を追加するための経費を計上いたしました。
 九州歴史資料館による収蔵文化財のデジタル化及び日本遺産「西の都」の認定ストーリーを紹介する映像コンテンツの制作に要する経費を計上しております。
 産業廃棄物処理施設の監視指導を強化するため、ウェアラブルカメラを購入する経費を措置しております。
 このほか、ワンヘルスに関する国際フォーラムの開催を契機として、国内外にその理念を周知啓発するため、県獣医師会が行うブックレット作成に対する助成費を措置しております。

 次に、令和2年7月豪雨災害の復旧・復興であります。
 被災された商工業者への支援として、県の制度融資に経営再建や設備復旧等のための低利の融資枠を創設し、保証料について県が全額肩代わりすることとしております。
 また、国が創設した「なりわい再建支援補助金」を活用し、中小企業者等が行う工場、店舗などの施設や生産機械などの復旧に対する助成費を新たに措置しました。
 さらに、小規模事業者が販路開拓のために行う商品開発等に対する助成費を計上し、その事業継続を支援します。
 被災された農林漁業者への支援として、経営再建や施設の復旧等のための特別融資枠を創設し、金利負担を軽減することとしております。
 また、ハウス施設や農業用機械の再取得、修繕などに対する助成費のほか、被災した野菜、花きの種苗や流失した家畜用飼料の購入等に対する助成費を措置しております。
 災害復旧事業では、道路、河川、林道などの復旧費を増額するとともに、農林業総合試験場などの県有施設の復旧に要する経費を計上いたしました。
 今後の災害の再発を防止するため、がけ崩れが発生した箇所への砂防施設や崩壊した林地への治山施設の設置に要する経費のほか、河道掘削に要する経費及び河川の改良工事実施に向けた調査費を措置しております。
 また、大雨による浸水被害を軽減するため、排水ポンプ車5台を追加導入するための経費を計上しております。

 次に、安全・安心、地域防災力の強化であります。
 歩道や交差点に係る道路の改良工事、橋りょうの老朽化対策工事の実施、河川の護岸整備等に要する経費を増額いたしました。

 このほか、企業誘致の受け皿となる「宮若北部工業用地」の整備のための調査、設計費を措置しております。
 以上が補正予算の概要であります。

 次に、条例議案について、ご説明申し上げます。
 第1は、「福岡県希少野生動植物種の保護に関する条例」の制定であります。希少野生動植物種の保護を図ることにより、生物の多様性を確保し、もって人と野生動植物とが共生する豊かな自然環境を次代に継承するため、希少野生動植物種の保護に関し、県の責務等を明らかにするとともに、指定希少野生動植物種に関する規定等を定めるものであります。

 第2は、「福岡県都市公園条例の一部を改正する条例」であります。公園施設として筑後広域公園内にスケートボード場を整備することに伴い、その利用料金の上限を定めるほか、所要の規定の整備を行うものであります。

 そのほか、「ふれあいの家南筑後」を廃止する条例、関係法令の一部改正に伴い所要の規定の整備を行う条例3件などであります。

 次に、専決処分したものについて報告し承認を求める議案は、緊急雇用基金事業に係る不当利得返還等、未払委託料等請求控訴事件の上告の提起であります。

 工事請負契約の締結に関する議案は、筑紫丘高等学校本館棟改築工事ほか1件について契約を締結するものであります。

 経費負担に関する議案は、農業農村環境整備事業ほか5件について、市町の負担すべき金額を定めるものであります。

 財産の取得に関する議案は、警察用無線機器を取得するに当たり、県議会の議決を求めるものであります。

 人事に関する議案は、福岡県教育委員会委員の任命、福岡県人事委員会委員の選任及び福岡県公安委員会委員の任命について、県議会の同意を求めるものであります。

 以上、提出議案の概要についてご説明申し上げましたが、いずれの議案も県政運営上緊要なものでありますので、慎重ご審議の上、議決下さいますようお願い申し上げます。

追加提出議案(令和2年9月17日)

 提案いたしました議案は、予算議案1件であります。

 今回の補正予算は、新型コロナウイルス感染症と季節性インフルエンザの同時流行に備え、医療提供体制の強化と感染防止対策の徹底に要する経費を追加するものであります。
 補正予算の額は、一般会計で42億2700万円余となり、その結果、一般会計の総額は、2兆1563億円余となります。
 一般会計の歳入は、地方交付税、「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」等を計上しております。

 補正予算の内容について、ご説明申し上げます。
 医療提供体制を強化するため、かかりつけ医等の身近な医療機関における新型コロナウイルスの抗原簡易キット検査及びPCR検査に係る自己負担分を全額県が負担するための経費を計上しております。
 また、高齢者等のインフルエンザによる重症化及びこれに伴う医療提供体制の逼迫を防止するため、インフルエンザワクチンの定期予防接種に係る市町村助成後の自己負担分を県が全額負担するための経費を計上しております。
 感染防止対策を徹底するため、業種別ガイドラインに従って感染防止対策を講じた接待を伴う飲食店等に対し、空気清浄機、サーモグラフィーカメラ等の備品購入費用に係る助成金を措置しております。

 以上、提出議案の概要についてご説明申し上げましたが、県政運営上緊要なものでありますので、慎重ご審議の上、議決下さいますようお願い申し上げます。

追加提出議案(令和2年10月14日)

 本日、追加提案いたしました議案は、予算議案1件であります。

 今回の補正予算は、先月15日、国が行った新型コロナウイルス感染症対策予備費使用の閣議決定を踏まえ、医療提供体制の強化及び生活困窮者の支援に要する経費を追加するものであります。
 補正予算の額は、一般会計で644億1200万円余となり、その結果、一般会計の総額は、2兆2207億1200万円余となります。
  一般会計の歳入は、国庫支出金を計上しております。

 補正予算の内容について、ご説明申し上げます。
 医療提供体制を強化するため、感染症患者専用の病棟を有する重点医療機関の入院病床を306床に増床する経費及び感染の疑いのある患者を受け入れる医療機関の入院病床を新たに200床程度確保する経費を計上しております。併せて、重点医療機関及び入院協力医療機関に対する入院病床確保料の引上げに要する経費を計上しております。
 また、重点医療機関、感染の疑いのある患者を受け入れる医療機関及び民間検査機関が行うPCR検査機器の整備に対する助成費を措置しております。
 生活困窮者の支援では、失業等により収入が減少し生活に困っている方を支援するため、その一時的な生計を維持する生活福祉資金の原資を増額するための経費を措置しております。

 以上、提出議案の概要についてご説明申し上げましたが、県政運営上緊要なものでありますので、慎重ご審議の上、議決下さいますようお願い申し上げます。