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平成19年6月定例会の知事議案説明要旨

当初提出議案(平成19年6月20日)

 本日ここに、第2回定例県議会を招集いたしましたところ、議員の皆様には、ご多用の中、ご参集いただき、厚く御礼申し上げます。
 このたびの議会は、県政運営の基本となる平成19年度の当初予算をはじめ、多くの重要な案件についてご審議をお願いするものであります。
 議案の説明に先立ち、4期目の県政を担当するに当たりまして、私の県政運営に対する所信の一端を申し述べ、議員各位をはじめ県民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げる次第であります。

 世界の一体化、グローバリゼーションの流れは、ますます拡大・深化しております。世界経済は新しいフロンティアの開拓が進み、かつて人類が経験したことのないような力強い「世界同時好況」を続けております。
 グローバリゼーションは、経済にとどまらず、情報通信、環境、感染症などの医療、文化、教育、スポーツなど、もはや我々の日常生活の各般に及んでいます。我々は、この世界の文明の構造変化に大きな影響を受けざるを得ません。
 このような中にあって、福岡県は、歴史と伝統が育んだ独自の文化を大切にし、個性を主張できる県として発展しなければなりません。同時に世界の新しい潮流を洞察し、これを取り入れ、世界の発展と共に繁栄をしなければなりません。
 アジアにあっては、中国、インド、ASEAN諸国などが大きく躍動しております。我が国は、先月、ASEAN諸国とEPA(経済連携協定)の締結に大筋で合意するなど、新たな地域連携構想を進めております。我が国の安全保障上極めて重要な北朝鮮の核放棄の問題については、6か国協議の合意の具体的実施を図らねばなりません。政府には、拉致問題を含め、国際社会と連携し、北朝鮮の核放棄に全力を尽くすよう求めるものであります。
 我が国は、少子高齢化が急速に進み、戦後初めて人口が減少する社会が到来しました。世界のトップランナーである我が国が、活力あふれる国としてさらに発展を続けていくためには、経済・雇用、医療・福祉、教育など様々な制度を時代の変化に適応したものにしなければなりません。科学技術立国による先端成長産業の育成、女性や高齢者をはじめ働く意欲を持つ者が多様な働き方ができる社会づくり、持続可能な医療・福祉制度の再構築、世界と伍して活躍する子どもたちを育てる教育力の向上など、新しい社会システムを構築しなければなりません。
 先月末、地方分権推進委員会の基本的考え方が示され、いよいよ第二期の地方分権改革が本格始動しました。国と地方の役割分担の徹底した見直しと権限の移譲、税源移譲による地方税源の充実強化、国と地方の二重行政の解消による行政の簡素化など、第二期分権改革を強力に進めていく必要があります。道州制についても、真の地方分権の確立の観点から議論を深めていく大切な時期を迎えております。
 このような内外情勢の中、私の県政運営の基本方針を申し述べます。
 第一は、「元気な福岡県」をつくることであります。国内外の地域間競争が激化する中、これまでの成果を踏まえ、積極産業政策をさらに進め、所得の高い雇用を創り出してまいります。
 本県の雇用の7割以上を支える中小企業については、融資制度の充実、ITを活用した取引の拡大、地場産業の振興、街なか再生など、総合的な支援を推進いたします。また、自動車、先端半導体、バイオ、ナノテク、コンテンツなど先端成長産業の育成・集積を進めてまいります。特に自動車産業については、150万台の生産目標を平成20年度に前倒しして実現をめざすととともに、地元企業の参入拡大に取り組んでまいります。
 また、新品種の開発やブランド化、高収益型園芸産地の育成など、後継者が将来に展望を持てる収益性の高い農林水産業の振興を図ってまいります。
 こうした産業の振興を支える高度人材の育成、情報通信網や九州新幹線、東九州自動車道などの社会資本の整備を推進いたします。
 第二は、「やさしい福岡県」をつくることであります。少子高齢社会が到来し、それぞれの地域において、互いに協力し支え合う「共助社会」を構築することがますます重要となっております。高齢者の皆さんが健康年齢を伸ばし、歳をとっても経験や能力を活かしてはつらつと活躍できる社会づくりを推進いたします。また、ひとり暮らしの高齢者や介護が必要な高齢者の安心をしっかりと支える社会づくりを進めてまいります。
 少子化が進む中、下がり続けていた出生率は回復の兆しが見えてまいりました。少子化の流れを転換させるため、「子育て応援社会」づくりを推進いたします。
 障害者福祉の分野では、自立支援の理念の下に大きな制度改革が行われております。障害者の皆さんの自立と社会参加のため、きめ細かな支援策を進めてまいります。
 社会保障費が増加する中、医療・福祉制度は大きな制度改革が進められております。県民が安心して医療や福祉サービスを受けられる体制を確保すると同時に、将来にわたり持続可能となるよう社会保障費の適正化に取り組んでまいります。
 県民の安全・安心な暮らしを守るため、地域や学校における防犯・防災体制を強化し、一層の治安の確保、災害や危機に強い県づくりを進めてまいります。また、女性やNPO・ボランティア団体が活躍する共同参画社会づくりを推進いたします。
 第三は、「希望の福岡県」をつくることであります。正規雇用とパートタイム労働など非正規雇用との格差是正、就職氷河期に卒業しフリーターなど不本意・不安定な生活を送っている若者の就業支援、女性の再就職や母子家庭の就業支援などに取り組み、誰もが希望を持って働き、多様な就業形態を選択できる社会づくりを推進いたします。
 将来を担う子どもたちの教育は、学ぶ意欲や自尊感情の低下、将来に対する希望の欠如、学力の低下などの問題に直面しております。県民の叡智を結集して「福岡の教育」ビジョンを策定し、福岡の教育の向上を図ってまいります。また、第二期青少年アンビシャス運動を推進し、子どもたちが人格、学力、体力を備え、心豊かでたくましく育つ社会づくりを進めてまいります。
 森林環境税を活用した荒廃森林の再生、リサイクルや省エネルギーの推進、水素エネルギーの活用による循環型社会づくりなど環境にやさしい緑のふくおかづくりを進めてまいります。
 情報通信技術が飛躍的に発展し、グローバリゼーションが急速に進む中、高速大容量の情報通信網は、水や電気と同様、基礎的なインフラとなっています。新しいIT戦略を策定し、ITが拓く様々な可能性を見据え、豊かで便利な社会の実現を図ってまいります。
 福岡県は、古来、アジアと日本を結ぶ玄関口として栄えてきました。本年は、中国江蘇省と友好提携を締結して15周年を迎えます。中国並びに韓国との交流については、時代の変化に対応しつつ、さらに深めてまいります。また、友好提携を締結したタイのバンコク都、インドのデリー州など成長著しいアジア諸国と、経済、学術、文化、観光など幅広い分野の交流を推進いたします。
 本県は、厳しい財政状況が続く中、県民サービスの向上や効率的な行政経営を行うため、「福岡県行政改革大綱」をとりまとめました。職員数の削減、組織の抜本的見直し、事務事業の総点検など、徹底した行財政改革に取り組み、分権新時代を担う少数精鋭体制の新しい県庁づくりを進めてまいります。
 福岡県は、躍動するアジアの時代にあって、これまでの成果を基礎に大きく飛躍する重要な時期を迎えております。私は、この福岡から「西風」を起こし、アジアと共に発展・繁栄すべく全力を傾注してまいります。

 ここで、平成19年度の当初予算編成についてご説明申し上げます。
 地方財政は、地方税や地方交付税の原資となる国税が大幅に増加するものの、公債費が高い水準で推移することや社会保障関係費の自然増等により、依然として大幅な財源不足が続いております。
 平成19年度の地方財政計画は、この財源不足額の圧縮を図るため、「骨太の方針2006」に沿って、定員削減や地方単独事業費の抑制などを通じて歳出規模が厳しく抑制されており、平成20年度以降においても同様の措置がとられ、地方交付税及び臨時財政対策債は継続的に削減されるものと予想されます。
 本県においては、県税収入は増加するものの、地方交付税等の削減が続き、社会保障費などの義務的経費が大幅に増加することにより、平成19年度以降、毎年度400億円前後の財源不足が生じるものと見込まれます。
 このため、平成19年度から平成23年度までの5年間を新たな財政構造改革期間と位置付け、行政改革大綱に掲げた取り組みを重点的に実施することにより、新たな行政需要への的確な対応を図りつつ、今後見込まれる財源不足額の圧縮に努めるとともに、県債残高を減少に転換させてまいります。
 平成19年度当初予算編成に当たっては、このような基本的考えの下、一般歳出を極力抑制することといたしました。一方、そうした中にあっても「元気でやさしい希望のふくおか」づくりを進めていく上で緊要な政策課題に的確に対応し、財源の重点的配分を行うという方針で臨んだところであります。
 この結果、平成19年度の当初予算は、一般会計で、1兆5,327億2,200万円余、特別会計の総額で、5,291億8,200万円余、企業会計の総額で、135億5,300万円余の規模と相成っております。
 一般会計につきましてその内容を概括的に申し上げますと、予算規模は前年度当初予算比で1.4%の増となっております。また、公債費や地方消費税清算金などを除いた一般歳出は0.8%の増となっております。
 歳出予算のうち一般行政経費については、既存の事務事業全般を厳しく検証し、その再構築を図りつつ緊要な政策課題に的確に対応するとともに、建設事業費については、事業の重点化、効率化に努め、県負担額を抑制することといたしております。
 一方、社会保障費については、国の医療制度改革に伴う措置を着実に実施するとともに、本県独自の増加抑制施策にも取り組むことといたしましたが、介護給付費負担金や老人医療対策費などを中心に前年度に比べ144億円増加しております。
 また、人件費については、職員数の削減や特殊勤務手当等の見直しを行うとともに、給与構造改革に引き続き取り組み、その抑制に努めたところでありますが、退職手当の増加等に伴い、前年度比113億円の増となっております。
 さらに、税収の増加等に伴い、義務的に支出する必要がある税関連市町村交付金等が前年度に比べ90億円増加しております。
 歳入予算につきましては、県税収入は、税源移譲等に伴い個人県民税において745億円の増収が見込まれるほか、企業の業績回復を反映し、法人二税において415億円の増収が見込まれ、県税全体では、前年度比1,216億円の増となっております。
 一方、地方譲与税につきましては、税源移譲に伴い所得譲与税が廃止されたことから、前年度比806億円の減となり、地方交付税につきましても、前年度比116億円の減となっております。
 さらに、県債につきましても、地方交付税の振替財源となる臨時財政対策債や減税補てん債が合わせて97億円の減となっております。
 以上申し述べましたとおり、厳しい財政状況の中で歳出・歳入全般にわたる改革措置を講じ、極力財源不足の圧縮に努めたところでありますが、平成19年度については189億円の財源不足が生じる見込となりました。これに対しては、財政調整基金や減債基金等を繰り入れて収支の均衡を図ることとしたところであります。

 以上、当初予算の概要について申し述べました。今回の予算編成においては、六つの柱からなる重点施策を掲げ、福岡県の新たな飛躍に向けて県政の積極的な推進を図ることといたしております。
 重点施策の体系に従い、歳出予算の主な内容につきましてご説明申し上げます。

 重点施策の第一の柱は「所得の高い雇用を生む力強い産業づくり」であります。
 まず、中小企業の経営力の強化と振興についてであります。
 我が国経済は、企業部門の好調さが家計部門へ波及し、国内民間需要に支えられた回復が続くものと見込まれております。この流れを地域経済の担い手である中小企業に着実にひろげていくことが重要であります。
 このため、中小企業振興資金及び元気フクオカ資金の融資枠を確保するとともに、商工会議所や商工会による経営指導、中小企業振興センターを核とした経営革新支援、中小企業団体中央会による異業種の連携支援などを積極的に進め、中小企業の振興を図ることといたしております。
 また、地場産品のブランド化による販路拡大に引き続き取り組むほか、中心市街地の活性化のため、商店街のにぎわい創出及び大規模集客施設の街なかへの誘導等を促進するための経費を計上いたしております。
 次に先端成長産業の育成・集積についてであります。
 アジアを中心とした世界的な競争が激化しております。このような中で本県の活力を維持し、雇用を生み出していくためには、21世紀において大きく発展する戦略産業を育成していくことが重要であります。
 このため、北部九州地域での自動車150万台生産拠点の形成に向け、引き続き企業誘致に力を入れるとともに、人材育成や技術支援、さらには逆見本市の開催や参入支援アドバイザーの設置等により地場企業の参入促進を図ってまいります。
 また、福岡システムLSI総合開発センターを中心に、ベンチャー企業の育成や研究開発支援を引き続き行うとともに、人材育成においては新たに組み込みソフトウエア技術者養成講座を開設するなど、システムLSI設計開発の拠点化を推進してまいります。
 さらに、県内4大学の連携による医薬品の治験ネットワークを構築し、研究成果を早期に製品化できる体制を整備するなどバイオ産業の拠点化をさらに進めるとともに、ナノテクノロジーを核とした産業の育成やロボット産業の振興に引き続き取り組んでまいります。
 このほか、情報産業の集積に向けては、コンテンツ産業におけるリーディング企業群の育成を図るとともに、高速大容量の情報通信基盤ふくおかギガビットハイウェイの一層の利用促進に努めてまいります。
 次に、収益性の高い農林水産業の振興についてであります。
 本県の農業・農村が持続的に発展していくためには、農業者が意欲と誇りを持ち、将来に展望を持てる収益性の高い農業の確立が重要であります。
 このため、活力ある高収益型園芸農業産地や競争力のある土地利用型農業の育成に引き続き取り組むとともに、新品種・新技術の開発とブランド化を推進し、国内及び海外への積極的な販売戦略を展開してまいります。
 また、今年度から新たに、水田農業の担い手である集落営農組織の再編、生き残りをかけたかき・みかん産地の改革、特徴ある園芸作物やITを活用した中山間地域農業の活性化、農地、農業用水路等の保全に向けた地域ぐるみの取り組みへの支援を進めてまいります。
 林業の振興につきましては、水源かん養、県土保全など多様な機能を有する森林の整備を図るとともに、県産木材の需要拡大や森林組合の合併促進、担い手対策に引き続き取り組むことといたしております。
 水産業の振興につきましては、水産資源の増殖技術等の開発やブランド化を推進するとともに、漁業協同組合の合併を進めることといたしております。
 また、玄界島の漁業再生活動に対する支援、「福岡のり」の産地間競争力の強化、有明海の漁業改善のための覆砂事業などに要する経費を計上いたしております。
 次に、希望の持てる再就業促進と多様な就業社会の形成についてであります。
 フリーターなどの若者が仕事への意欲や将来への自信が持てる職業に就けるよう支援するため、「若年者しごとサポートセンター」のキャリアコンサルタントによる就職相談の強化や企業内職業訓練、企業訪問活動を盛り込んだ実践的セミナーの開催などに取り組んでまいります。
 また、子育て中の女性に対する再就職支援を強化するとともに、SOHOなどの新しい就業形態の育成や短縮勤務が選択できる正社員制度の普及などに引き続き取り組んでまいります。

 重点施策の第二の柱は「安全・安心な共助社会づくり」であります。
 まず、子育て応援社会づくりについてであります。
 次世代のための結婚応援事業を引き続き実施するとともに、「子育て応援の店」の1万店舗への拡大、「子育て応援宣言企業」の3,000社への拡大に取り組んでまいります。
 また、在宅の子育て家庭のために市町村が実施する地域子育て支援拠点の運営に対する助成費や3歳未満の第1子及び第2子を対象とした児童手当の加算金の支給に要する経費を新たに計上したほか、本年1月から開始した乳幼児医療における3歳未満の初診料の自己負担無料化のための経費を計上いたしております。
 さらに、小児救急医療ガイドブックを3歳以下の乳幼児を持つ全家庭に配布するとともに、乳幼児健診を受診していない家庭の養育環境を把握し、支援するための訪問事業を実施する市町村に対し、新たに助成を行うことといたしております。
 次に生きがいと安心の持てる高齢社会の構築についてであります。
 ねんりんスポーツ文化祭の充実に引き続き取り組むとともに、高齢者の再就業や社会活動を支援する高齢者向け情報ホームページの構築及び高齢者の社会参加活動等の促進を図る交流拠点の開設・運営に要する経費を新たに計上いたしております。
 また、ひとり暮らしの高齢者世帯などを地域全体で見守るためのネットワークの整備について検討することといたしております。
 次に、障害者自立支援の充実についてであります。
 障害者自立支援法の円滑な実施を図るため、制度の変更に伴って増加した利用者負担のさらなる軽減などの各種の臨時対策事業に要する経費を新たに計上いたしております。
 また、障害者の方々への就職相談から企業内実習、就職あっせんまでの一貫した支援や授産施設等の工賃水準の向上に向けた新たな製品づくりの支援に要する経費を計上いたしております。
 次に、女性やNPO・ボランティアが活躍する共同参画社会づくりについてであります。
 地域での男女共同参画の取り組みを促進するため、地域活動を担う人材や団体を積極的に育成するとともに、小規模事業所における育児休業制度の導入を支援するための窓口の設置に要する経費を新たに計上いたしております。
 また、福岡県NPO・ボランティアセンターについては、退職を迎える団塊世代のNPO・ボランティア活動への参加を促進するため、見本市の開催など情報提供の充実を図ることといたしております。
 さらに、企画段階から参加を得るNPO提案活用事業を引き続き実施し、公的サービスの新たな担い手として期待されるNPOとの協働を推進します。
 次に、地域の暮らしを守る安全・安心の確保についてであります。
 地震や豪雨災害等から県民の生命を守るため、「防災メール・まもるくん」やインターネットによる避難所等の地図情報を提供するシステムを構築するとともに、災害や事故の現場で迅速に救急医療を行う災害派遣医療チームを新たに県内6病院に設置することといたしております。
 また、北部福岡緊急連絡管の整備や御笠川、宇美川などの河川改修事業をはじめとする災害関連事業に引き続き取り組んでまいります。
 安全・安心まちづくりにつきましては、犯罪のない安全で安心して暮らせる社会の実現を目指す県民運動を展開するため、推進体制の整備や地域防犯活動への支援を行ってまいります。
 学校における児童生徒の安全確保につきましては、子どもの安全に関する情報を学校や保護者、市町村等と共有するためのシステムの構築や退職警察官を学校支援専門員として配置するための経費を新たに計上いたしております。
 治安対策につきましては、警察官を150名増員するとともに、暴力団などの組織犯罪対策を強化することといたしております。
 交通安全対策につきましては、交通事故の一層の削減を図るため、各種団体が交通安全に関するアクションプランの策定・実施などに取り組む新たな県民運動を推進するとともに、信号機、道路標識などの各種交通安全施設の整備や交差点改良などを進めてまいります。
 医療につきましては、肝炎ウイルスの無料検査の実施などによるがん対策、生活習慣病の予防、自殺対策などに新たに取り組むほか、日本赤十字社による血液検査・製剤業務の集約化施設の整備に対し助成を行うことといたしております。
 このほか、改正貸金業法の施行に伴い深刻化してきた多重債務問題に対応するため、県消費生活センターの相談体制の強化等を図ることといたしております。

 重点施策の第三の柱は「教育力の向上と文化・スポーツの振興」であります。
 まず、志を持ったたくましい青少年の育成についてであります。
 青少年を取り巻く環境や社会の変化を踏まえ、21世紀を担う青少年が自らの目標を見いだし、たくましく成長していくよう家庭、地域、学校、企業等が連携して環境を整備していくことが喫緊の課題であります。
 このため、アンビシャスの翼、本のわくわく探検、家庭教育宣言などの事業を引き続き実施するほか、子どもたちが集い、多様な体験ができるアンビシャス広場を拡充するとともに、小中学校において児童生徒自らが企画し、実践するボランティア活動や勤労・生産体験活動を支援してまいります。
 また、フクオカサイエンスワールドの開催などを通じて青少年の科学に関する興味を育むとともに、日本の次世代リーダー養成塾の開催などに引き続き取り組んでまいります。
 いじめ及び不登校問題対策につきましては、スクールカウンセラーの配置などに引き続き取り組むとともに、いじめの根絶に向けた取り組みの紹介・普及を目的とした実践交流会を新たに開催することといたしております。
 また、ひきこもり児童生徒の学校復帰を支援する訪問指導員の配置、不登校児童生徒を支援するフリースクールへの助成、福岡県立大学における「不登校・ひきこもりサポートセンター」の設置などに要する経費を新たに計上いたしております。
 青少年の非行防止につきましては、少年補導員による対策を引き続き実施するほか、青色パトカーによる巡回活動等を行うモデル地域の拡大や保護者を対象とした非行防止学習活動に新たに取り組むことといたしております。
 次に、確かな学力と個性を伸ばす学校教育の推進についてであります。
 教育の課題を正面からとらえ、心豊かで人格、学力、体力を備えた子どもたちを育てる「福岡の教育」ビジョンを策定・実施するため、県民会議を新たに設置いたします。また、産業界が求める高度な技能を持った人材を育成するため、新たに県立工業高校産業人材育成事業及び私立学校ものづくり実践教育事業に取り組んでまいります。
 さらに、県が設立した3公立大学法人に対する運営交付金を計上したほか、私立学校教育の振興を図るため、運営費補助金など必要な助成措置を講じております。
 次に、歴史文化・スポーツの振興と生涯学習社会の実現についてであります。
 九州歴史資料館の移転改築工事費を計上したほか、邪馬台国九州説を全国にアピールするためのイベント開催や講座の開講等に要する経費を新たに計上いたしております。
 また、全国で初めての試みとなる県と市町村の共同公文書館の基本計画策定費、県立美術館の将来構想を検討する委員会の運営経費、小学生の体力向上のための事業費を新たに計上いたしております。

 重点施策の第四の柱は「環境にやさしい循環型社会づくり」であります。
 まず、リサイクルを推進する資源循環型社会づくりについてであります。
 ごみの減量化に向けた県民、事業者、行政の役割を具体化する行動指針の策定や廃棄物を多量に排出する事業者に対して専門のアドバイザーを派遣し、廃棄物の減量化・再生利用を進めることといたしております。
 また、学校給食等残さの飼料化モデルの実証に要する経費を新たに計上いたしております。
 次に、地球的視野に立った環境の保全と創造についてであります。
 発展するアジア諸国への環境分野での貢献を目的とした国際環境人材育成事業に引き続き取り組むとともに、環境負荷のない究極のクリーンエネルギーである水素エネルギーの実用化に向け、研究開発の拠点化や人材育成などを積極的に進めてまいります。
 また、家庭における省エネルギーの取り組みを促進するエコファミリー応援事業に加え、今年度から、事業所における取り組みを促進するエコ事業所応援事業を実施してまいります。
 さらに、過去において不適正に処理された産業廃棄物の除去等に要する経費やアスベストによる健康被害者を救済するために創設された基金への拠出金を新たに計上いたしております。
 次に、美しい県土の保全と活用についてであります。
 二酸化炭素の吸収など、多様な機能を有する森林を県民共有の財産として大切に守り育てる取り組みが重要になっております。このため、森林環境税についての広報と荒廃森林の再生事業を実施する体制の整備を進めてまいります。
 また、矢部川流域の広域的景観計画の策定など、県民参加による美しい県土の形成のための諸施策を実施するとともに、水資源の安定的な確保を図るためのダム建設、自然公園の整備などに引き続き取り組んでまいります。
 次に、快適な生活環境づくりについてであります。
 快適で潤いのあるまちづくりを推進し、県民一人ひとりが生活の豊かさとゆとりを実感できる環境づくりを進める必要があります。このため、県内全域の効率的な汚水処理施設整備についての構想を見直すとともに、都市公園や水辺環境、下水道の整備、市街地整備の促進などに引き続き取り組んでまいります。

 重点施策の第五の柱は「アジアと共に発展する交流拠点の形成」であります。
 まず、アジアの拠点ふくおかの構築についてであります。
 九州国立博物館は開館2年目で来訪者が300万人を超えるにぎわいを見せておりますが、これと一体となって活動する県立アジア文化交流センターの管理運営の充実に取り組んでまいります。
 また、研究所や企業等の誘致の受け皿となるリサーチパークの整備を進めるなど、九州大学を核とした学術研究都市構想を推進してまいります。
 さらに、将来的に需給の逼迫などが予想される福岡空港について、幅広い合意形成を図りながら、引き続き、国、県、福岡市が連携して総合的な調査を進め、対応方策を見出してまいりたいと考えております。
 このほか、昨年3月に開港した新北九州空港の利便性の向上を図るため、路線・便数のさらなる拡大と空港機能の拡充を促進するとともに、三池港の物流拠点としての機能強化に向け、公共埠頭の整備などに加え、コンテナ貨物取扱量の拡大を図るための経費を新たに計上いたしました。
 次に、戦略的に進める多様な交流・連携についてであります。
 中国江蘇省との友好提携15周年を迎えるに当たり、県代表団を派遣するとともに、タイ・バンコク都及びインド・デリー州との友好提携記念事業や台湾への経済交流ミッション派遣事業を実施してまいります。
 また、日韓の若者が感性などを共有する若者文化を通して交流を深めるための「日韓まんがフェスティバル」を新たに開催するとともに、アジア太平洋諸国の相互理解と国際感覚あふれる青少年の育成を図るため、アジア太平洋こども会議イン福岡事業への助成を引き続き行ってまいります。
 さらに、産学官による留学生支援組織のあり方について検討を進めてまいることといたしております。
 次に、交流・連携を支える基盤づくりについてであります。
 広域的な連携を促進し、県土の均衡ある発展を図っていくため、九州新幹線・鹿児島ルート、東九州自動車道、有明海沿岸道路、九州縦貫自動車道の地域活性化インターチェンジなどの整備促進を図るとともに、都市高速道路の福岡高速5号線の建設などを進めてまいります。
 また、自動車産業施設とインターチェンジ等のアクセス強化を図るための道路をはじめ、地域における主要道路の整備を進めてまいります。
 次に、個性を活かした魅力ある地域づくりについてであります。
 「京築連帯アメニティ都市圏構想」の推進を図るため、戦略的プロジェクトを実施するとともに、筑後地域におけるネットワーク型田園都市圏構想を引き続き進めてまいります。
 また、中山間地域の市町村が行うITを活用した地域活性化事業等の支援や魅力ある地域づくりを目指した「新IT戦略」の策定に要する経費を新たに計上いたしております。

 重点施策の第六の柱は「地方分権を活かす行財政システムづくり」であります。
 まず、行財政改革の推進と分権新時代を担う県庁づくりについてであります。
 新たな定員管理方式の導入等による職員数のさらなる削減や事務事業の総点検、組織の抜本的見直しや職員の意識改革の推進など、新たな行政改革大綱に基づく行財政改革を強力に推進してまいります。
 また、国から地方への税源移譲について、県民の皆様の理解を得るために十分な説明を行うとともに、市町村の税の徴収力を高めるため、地方税収対策本部を設置し、県職員の派遣や市町村からの研修生の受け入れ等を行ってまいります。
 さらに、公共工事の入札・契約制度の改革に向け、一般競争入札において総合評価方式を導入するためのシステム改修経費を計上いたしております。
 次に、地方分権の推進についてであります。
 市町村の合併に向けた取り組みや合併後の一体的なまちづくりに対し引き続き支援していくとともに、県内市町村の状況を踏まえ、さらなる合併の推進を図ってまいります。

 本日、ここに提案いたしております議案は、ただいまご説明申し上げました平成19年度予算議案20件のほか、条例議案16件、専決処分したものを報告し承認を求める議案1件、契約の締結に関する議案2件、経費負担に関する議案1件、その他の議案5件であります。
 このうち、条例議案についてその概要をご説明申し上げます。
 第一は、介護保険法等の一部改正に伴い、介護サービス事業者の指定更新制度が導入されたことから、受益者負担の原則に基づき指定申請事務等に手数料を導入するため、「福岡県保健福祉関係手数料条例」の一部を改正するものであります。
 第二は、「福岡県県営港湾の臨港地区内の分区における構築物の規制に関する条例」の一部を改正する条例であります。その内容は、港湾の管理運営の円滑化及び港湾機能の確保を図るため、臨港地区内の分区の区域内において建設が許容される構築物の追加を行うものであります。
 第三は、「福岡県建築基準法施行条例」の一部を改正する条例であります。その内容は、福岡市建築基準法施行条例の制定に伴い、建築主事を置く市町村が建築基準法施行条例を定めた場合に県条例を適用しないこととするものであります。
 第四は、下水道法の一部改正に伴い、広域的に雨水を排除し、雨水の流量を調節する明星寺川雨水流域下水道を設置するため、「福岡県公の施設の設置及び管理に関する条例」の一部を改正するものであります。
 第五は、「福岡県事務処理の特例に関する条例」の一部を改正する条例であります。その内容は、福岡県福祉のまちづくり条例の一部改正に伴い、知事の権限に属する事務の一部を市町村が処理すること等について所要の規定の整備を行うものであります。
 そのほか、報酬の額を月額で定める非常勤特別職員について、報酬の支給方法の一部を改めるもの、関係法令の一部改正等に伴い所要の規定の整備を行うものなどであります。

 以上、提出議案の概要についてご説明申し上げましたが、いずれの議案も県政運営上緊要なものでありますので、慎重ご審議の上、議決下さいますようお願い申し上げます。


日程提出議案 | 知事議案説明要旨 | 代表質問一般質問
採決結果審議の概要可決された意見書・決議、採択された請願