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平成22年2月定例会の知事議案説明要旨

当初提出議案(平成22年2月24日)

 本日ここに、第15回定例県議会を招集いたしましたところ、議員の皆様には、ご多用の中、ご参集いただき厚くお礼申し上げます。
 まず、福岡県町村会に関わる事件について、申し述べさせていただきます。
 昨年12月、町村会職員による詐欺事件に関連し、前副知事をはじめ本県幹部職員が町村会職員から接待を受けたとの報道がなされました。早急に実態の解明が必要と考え、直ちに外部有識者による職員倫理調査委員会を設置し、事実関係の調査を進めてまいりました。
 その後、前副知事が収賄容疑で逮捕され、さらに、昨日には起訴されるに至りました。非常に大きな衝撃を受けているところであります。このような事態は、県行政の信用を著しく失墜させるもので誠に遺憾であり、県民の皆様並びに議員各位に対し、深くお詫び申し上げます。
 調査委員会では、現職職員及び退職者に対し、申告書及び宣誓書の提出を求め、個別の事情聴取を行うなど調査を進めているところであります。この調査をさらに徹底して行い、真相究明に全力をあげる所存であります。
 今後、調査結果を踏まえ、私自身を含め、必要な措置を行うとともに、厳正なる綱紀の保持と県民に信頼される県政の推進に努めてまいります。

 このたびの議会は、県政運営の基本となる平成22年度の当初予算をはじめ、多くの重要な案件についてご審議をお願いするものであります。
 議案の説明に先立ち、まず私の県政運営に対する所信の一端を申し述べ、議員各位をはじめ県民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げる次第であります。
 一昨年の米国金融危機に端を発する世界同時不況により大きな打撃を受けた世界経済は、各国が協調して発動した経済対策の効果により、緩やかに回復に向かっています。
 一方、ドバイ、ギリシャの金融危機の勃発、先進国の脆弱な経済回復力など、世界経済の先行きは依然として不安定な状態が続いています。
 このような中で、中国、インド、ブラジルなど新興国の発展はめざましく、今や世界経済を大きく支えております。G8からG20への経済力移転の潮流が明確になってまいりました。
 約190国が参加したCOP15は、激しい議論の応酬と利害の対立により、温室効果ガスの具体的削減目標を設定できないという残念な結果となりました。拡大する国際社会における共通のルールづくりの難しさを改めて痛感するものでありますが、世界は英知を結集し、地球温暖化に立ち向かう明確な方策を確立する必要があります。
 我々の平和と安全に直結する北朝鮮の核開発や拉致問題は進展がみられておりません。さらに、イランのウラン濃縮、アフガニスタン問題など、世界情勢は依然として緊迫しております。
 このような中で、我が国経済は、アジアへの輸出が牽引役となり、製造業の生産が回復してまいりました。政府の経済対策により消費は増加傾向にあるものの、長期にわたりデフレが続いております。雇用情勢も改善せず、失業率も高止まりの状況が続いています。この閉塞状態を打開すべく、我が国の新しい成長戦略の策定、実施を急がねばなりません。
 こうした中、新政権は、過去最大の歳出規模となる財政出動型の予算編成を行いました。地方交付税は1兆1,000億円増額され、疲弊する地方財政への配慮も相当程度なされたものとなりました。一方、新規国債の発行額は過去最大となったことも忘れてはなりません。
 地方分権については、今通常国会に、国と地方の協議の場の創設、義務付け・枠付けの見直しなどの法案が提出されます。さらに、国の出先機関の原則廃止、地方への権限・財源の大幅移譲、地方の自主財源の強化などを進めなければなりません。

 このような内外情勢の中、私は平成22年度を雇用・景気対策を進め安心と希望の社会をつくる年にしたいと考えています。
 本県の経済は輸出、生産が回復の方向にあります。しかし、今春卒業する高校生や大学生の就職内定率は一段と悪化しており、雇用情勢は極めて厳しい状況が続いております。雇用は県民生活の最も重要な基礎であり、この改善のために総力を挙げて取り組みます。
 また、雇用の8割を担う中小企業は懸命の努力で雇用を維持しています。金融経営支援、新しい製品やサービスの開発、地域商品券の発行による販路拡大など、中小企業を積極的に支援してまいります。
 農林水産業については、その基本である米、麦、大豆の土地利用型農業の安定した発展を図るとともに、あまおう、とよみつひめ、雪姫に続く新品種開発を迅速に進め、全国あるいは世界的ブランドに育てる高収益型園芸農業づくりを推進します。また、県産木材の安定供給体制の構築、水産物の販路拡大を図ります。
 社会資本整備は、県民生活の利便性と将来の地域の発展力を高め、また、現下の景気・雇用を下支えするためにも大きな役割を果たすものであります。このようなことから、厳しい財政状況の中でも県単独公共事業予算を大幅に増やしてまいります。
 本県が今後長きにわたり発展、繁栄していくためには、アジア諸国と多様な交流を進め、その発展のエネルギーを積極的に取り入れていかなければなりません。
 このため、「福岡・アジア新時代創造特区構想」の検討を鋭意進めているところであります。この構想は、アジアとの関係において福岡が、イノベーション・先端成長産業の拠点、中小企業のビジネス拠点、環境先端拠点、高度医療・健康拠点、ファッション・若者文化の拠点、先進社会資本拠点の6つのアジアの拠点づくりを進めようとするものであります。これにより我が国の成長拠点モデルとなることを目指してまいります。
 国に対しては、総合的な特区制度の活用を提案し、その実現を求めてまいります。
 多様化する公的ニーズに対応するためには、行政だけでなく様々な主体が社会を担う活動に参画する新しい共助社会をつくることが必要です。
 この共助社会の重要な担い手は、強い使命感を持ち、柔軟な対応を行うNPOやボランティアであり、その健全な発展を支援するとともに、NPOやボランティアと企業、行政との協働をさらに進めます。
 急速に進む少子化に歯止めをかけるため、国は巨額の子ども手当の支給を開始します。我々は育児環境を整備し、サービスをきちんと提供する社会づくりを進めてまいります。
 世界一の長寿国家となった我が国では、多くの高齢者が気力、体力ともに充実し、元気であります。また、自分の知識、経験を活かし、働きたいという希望をもっています。このため、高齢者の皆さんが元気に働き、活躍できる社会づくりに取り組んでまいります。このような努力は、我が国の今後の経済力を確保し、社会保障、福祉制度を維持していくためにどうしても必要なものであります。
 昨年は、障害者の皆さんがつくった芋焼酎「自立」に県民の皆さんの大きな支持が集まりました。障害者の皆さんの多様な工賃アップの努力を支援し、障害者の自立や社会参加を進めてまいります。
 昨年夏、本県は記録的な豪雨に見舞われました。死者は10人を数え、浸水や損壊した家屋は5,500棟を超えるなど、甚大な被害が発生しました。近年の天候は、局地的な豪雨が頻発するなど極端な気象変化が増えつつあります。ダムや河川改修による水害対策、がけ崩れ対策に取り組み、緊急対応力を高め、災害に強い県づくりを進めます。
 本県では、本年4月に全国でも例のない暴力団排除条例が施行されます。警察、行政、県民が一体となり、暴力団の資金源を断ち、撲滅に取り組みます。
 福岡の教育ビジョンの実現を目指し、各学校や地域では、様々な実践活動が本格化しています。教育力向上福岡県民運動と青少年アンビシャス運動を両輪とし、志を持つたくましい福岡の子どもたちを育ててまいります。
 本県は、リサイクル製品の開発やRDF発電、水素エネルギーの実用化など循環型社会づくりに積極的に取り組んでいるところです。LED照明の普及など家庭や事業所における省エネをさらに進め、低炭素型のまちづくりを推進します。
 来年3月には、いよいよ九州新幹線・鹿児島ルートが全線開通します。本県では、博多駅が全面的に改築されるとともに、新しく久留米、筑後船小屋、新大牟田の3つの駅が設置されます。時間距離が一挙に短縮され、人びとの生活圏が飛躍的に拡大します。この効果を活かして、各地の定住人口や地域間の交流人口の大幅な増加を目指し、それぞれの地域の特性を活かした働きやすく、住みやすいネットワーク型の魅力的な地域づくりを進めます。
 厳しい試練の時こそ、古い殻を破り新機軸を打ち立てていかなければなりません。県民の皆さんと力を合わせて元気でやさしい希望の県づくりを進めていく所存であります。

 ここで、平成22年度の当初予算編成についてご説明申し上げます。
 地方財政は、地方税収入や地方交付税の原資となる国税収入が引き続き落ち込む中で、社会保障関係経費の自然増などにより財源不足が過去最大規模に拡大すると見込まれます。
 平成22年度の地方財政計画は、地方公共団体が地域のニーズに適切に応えられるよう、地方交付税の増額など自主財源の充実・強化が図られたところであります。
 本県の平成22年度当初予算編成に当たっては、雇用・景気対策に積極的に取り組むとともに、アジア新時代を創造する拠点づくり、新しい共助社会の構築、安全安心な社会づくりなど、「元気でやさしい希望のふくおか」づくりを進めていく上での緊要な政策課題に的確に対応し、財源の重点配分を行うという方針で臨んだところであります。
 また、職員数の削減、事業の見直しなどの行財政改革に引き続き取り組むこととしました。
 この結果、平成22年度の当初予算は、
 一般会計で、1兆5,900億3,200万円余
 特別会計の総額で、4,169億8,500万円余
 企業会計の総額で、96億7,300万円余
の規模と相成っております。
 一般会計につきましてその内容を概括的に申し上げますと、予算規模は前年度当初予算比で、0.1%の増となっております。また、公債費や地方消費税清算金などを除いた一般歳出は1.7%の増となっております。
 歳出予算のうち行政施策費については、事業の見直しを進めているものの、緊急的な雇用創出事業の増額等により、前年度に比べ284億円の増となっております。
 社会保障費については、現下の厳しい雇用情勢を受けて生活保護費が増加するなど、前年度に比べ124億円の増となっております。
 公債費については、過去に借り入れた県債の償還及び利子の支払が増加し、前年度に比べ84億円の増となっております。
 公共事業費については、景気浮揚のため重点実施することとし、県単独公共事業費は、前年度に比べ157億円、15.8%の増となっております。
 一方、人件費については、職員数削減の取組などにより、前年度に比べ94億円の減となっております。
 歳入予算につきましては、景気の低迷に伴う法人二税等の減収により、県税等の収入が前年度に比べ890億円の減となっております。
 一方、地方交付税及び地方交付税の振替措置である臨時財政対策債が前年度に比べ585億円増加しております。また、補助公共事業費及び直轄事業負担金等の減により、県債が前年度に比べ190億円減少しております。
 以上申し述べましたとおり、歳入・歳出全般にわたり極力財源不足の圧縮に努めたところでありますが、99億円の財源不足が生じる見込みとなりました。これに対しては、財政調整基金や減債基金等を繰り入れて収支の均衡を図ることとしたところであります。
 以上、当初予算の概要について申し述べました。今回の予算編成においては、7つの柱からなる重点施策を掲げ、福岡県の発展と県民福祉の向上のため、県政の積極的な推進を図ることとしております。
 重点施策の体系に従い、歳出予算の主な内容につきましてご説明申し上げます。

 重点施策の第一の柱は「雇用・景気対策の推進」であります。
 まず、生活を守るきめ細かな就職支援についてであります。
 厳しい雇用情勢が続く中、求職者の状況に対応した就職支援を充実します。中高年就職支援センターや30代チャレンジ応援センター、若者しごとサポートセンターにおいては、早期就職を目指し、相談から研修、会社説明会まで一貫した支援を行います。
 子育て女性就職支援センターにおいては、就職あっせんや出張相談を実施してまいります。
 また、高卒未就職者を対象とした県の行政実務研修生への採用枠拡大など新卒者の就職支援を充実します。
 さらに、住宅入居費の貸付など離職者向け生活福祉資金貸付金の拡充を図ってまいります。
 次に、重点分野への人材移転と職業能力向上についてであります。
 人手不足や新たな雇用が見込まれる農業、福祉・介護、新生活産業など重点分野への人材移転を進めます。
 雇用型経営を行う農業法人等における農作業従事者の育成、新規就農者に対する機械・設備の導入支援を行います。医療機関への看護補助者の派遣や介護職員の処遇改善に取り組む事業者への助成を行うとともに、新生活産業分野における技能向上研修を実施します。
 また、情報技術者や介護福祉士の養成訓練など安定した就職に結びつく職業訓練を行います。
 次に、雇用を支える中小企業の経営支援についてであります。
 中小企業の経営安定を図るため、緊急経済対策資金など中小企業振興資金の融資枠を拡大するとともに、返済条件の緩和措置を継続します。
 また、中小企業の経営革新支援や商工会議所、商工会による経営指導などを積極的に推進します。
 特色ある商店街づくりを計画的に進めるとともに、消費の喚起と地域経済の活性化を図るため、プレミアム付き地域商品券を発行する商店街等に対する支援を拡充します。
 このほか、デザイン刷新による新商品の開発、地場産品のブランド化による販売促進などに取り組みます。
 次に、ブランド戦略による攻めの農林水産業の展開についてであります。
 日持ちが良く市場価値の高い白ギク「雪姫」の生産や販路の拡大、収量が多く早播きが可能な大豆の新品種開発などを進めるとともに、中山間地域の特色を活かした農林産物の販売拡大に取り組みます。
 また、新宮相島(あいのしま)での高級真珠養殖の生産体制の整備を促進するとともに、身入りの良い県産カキの養殖技術の開発に引き続き取り組んでまいります。
 次に、経営力の高い農林水産業づくりについてであります。
 農業につきましては、担い手への農作業の集約、集落営農組織の法人化、設備の高度化や生産コストの低減などにより土地利用型農業の経営体制を強化します。
 また、高収益型園芸農業産地を育成するため、雇用システムの構築や生産設備に対する助成の拡充を図り、雇用型経営への転換を促進します。また、子牛の育成牧場の整備を支援し、担い手酪農家の所得向上を図ってまいります。
 林業につきましては、森林の整備や森林組合の合併促進に引き続き取り組むとともに、県産木材の安定供給体制の構築を進め、県産材の需要拡大を図ります。
 水産業につきましては、農産物直売所での水産物の直接販売を促進するとともに、水産資源の増殖技術の開発や有明海の漁場改善のための覆砂事業を実施してまいります。
 次に、景気を浮揚させる公共事業の重点実施についてであります。
 九州新幹線・鹿児島ルートの開業に向け必要な工事を進めるとともに、東九州自動車道、都市高速道路の福岡高速5号線の早期完成に向け整備を促進します。また、これらへのアクセス強化を図る道路や地域の主要道路などの整備を重点的に進めます。
 さらに、特別養護老人ホームや災害拠点病院、県立学校の耐震工事の実施等、福祉・医療、教育分野の公共事業に積極的に取り組んでまいります。

 重点施策の第二の柱は「アジア新時代の創造」であります。
 まず、イノベーション・先端成長産業の拠点づくりであります。
 北部九州地域での自動車産業のさらなる発展に向け、高齢者自動車など次世代自動車の開発、先端人材の育成、高機能部品産業の集積などに取り組みます。
 先端システムLSIの開発拠点づくりをさらに加速するため、回路設計から実装・試作、実証・評価まで一貫して支援する拠点施設を整備し、世界をリードする中核研究機関の構築を目指してまいります。
 水素エネルギー製品研究試験センターを核とした製品開発や北九州水素タウンの整備、水素ハイウェイでの実証走行など世界を先導する福岡水素戦略を推進します。
 ソフトウェア産業振興センター(仮称)を創設し、プログラム言語Rubyによるビジネスの展開、ゲームや映像などのコンテンツ産業の育成を図ります。
 このほか、がんペプチドワクチンの実用化などバイオ産業の拠点化、医療・介護・生活支援ロボットの開発、素材産業やものづくり技術の集積を活かした航空機産業の誘致に取り組みます。
 また、水素先端フォーラムやシリコンシーベルトサミットなど世界最先端の国際会議を開催するとともに、福岡女子大学の新学部開設に向け留学生の受入れ体制を整備するなど、知の交流拠点づくりを進めます。
 次に、アジアのビジネス拠点づくりであります。
 アジアの中小企業の経営力を強化するため、OJT中心の講座をアジア中小企業大学校として実施するとともに、福岡アジアベンチャーマーケットを開催するなど中小・ベンチャー企業支援に取り組みます。
 また、インターネット通販サイト「福岡よかもん市場」の拡充や安全で高品質な農産物の輸出促進など、アジアへの県産品の販売拡大に取り組みます。
 さらに、アセアン、インド地域との交流を促進するため、バンコク事務所を開設します。
 次に、アジアの環境先端拠点づくりであります。
 アジアの環境問題の解決に貢献するため、江蘇省やハノイ市との環境交流促進協定を締結し、人材育成や民間技術の交流を促進します。
 また、レアメタルを含む廃家電製品の効率的な回収手法や抽出技術の開発、再生炭素繊維の用途開発など最先端のリサイクルシステムを構築しアジアへの普及を図ってまいります。
 次に、アジアの高度医療、健康・癒し、ファッション、美容、若者文化の拠点づくりであります。
 本県の高い医療技術を活かした、多言語に対応できる高度医療拠点の形成に向けた調査を実施します。
 また、「福岡アジアコレクション」の開催や、海外でのFACoブランドのファッションショーやヘアメイクショーの開催などアジアファッションの拠点づくりを進めます。
 さらに、まんがやアニメ、ポップミュージックなどアジアの若者文化を発信するウェブサイト「アジアンビート」と国内外のテレビや雑誌などとの連携を進めるクロスメディアの展開など、アジアの若者文化の拠点づくりを進めます。
 次に、アジアとの交流を進める先進社会資本の整備であります。
 アジアの拠点空港を目指す福岡空港については、滑走路増設の早期着手・完成に向け施設計画の検討に取り組んでまいります。北九州空港は、24時間利用可能な物流ハブ空港化を目指し、国際・国内航空貨物の集積のための支援を拡充します。
 また、苅田港や三池港の整備を進めるとともに、三池港における取扱貨物量の増加や海外定期航路の拡大のための支援を強化します。
 さらに、九州国立博物館とバンコク国立博物館との交流事業、ハノイ市との友好交流事業の実施や海外福岡県人会世界大会への参加など海外との友好交流を進めてまいります。

 重点施策の第三の柱は「新しい共助社会の構築」であります。
 まず、NPO・ボランティアと企業、行政との協働推進についてであります。
 NPOや企業、経済団体、大学、行政など多様な主体が参加する協働実践会議を新たに設け、各主体相互の協働を促していくとともに、NPOの専門性や柔軟性を活かした、地域の課題解決に向けた取組を支援してまいります。
 また、犯罪被害者総合サポートセンターの運営や食育の推進、道路・河川の清掃活動など様々な分野でのNPOとの協働事業を実施してまいります。
 次に、希望あふれる子育て応援社会づくりについてであります。
 独身男女に出会いの機会を提供する「出会い応援事業」を充実するとともに、「子育て応援の店」、「子育て応援宣言企業」のさらなる拡大を目指し、社会全体で子育てを応援する取組を進めます。
 また、保育所や放課後児童クラブの新設などを積極的に進め、待機児童の解消を図るとともに、子ども手当の一部として支給される児童手当について必要な措置を講じてまいります。
 さらに、県内四箇所の総合周産期センターに加え、新たに3箇所の地域周産期センターの運営費を助成することとしたほか、医師に対して新生児医療手当を支給する医療機関や院内助産所の施設整備等に対して支援します。
 このほか、乳幼児医療費、ひとり親家庭等医療費に対する助成を継続するとともに、妊婦健康診査に対する支援を行ってまいります。
 次に、安心はつらつ長寿社会づくりについてであります。
 高齢者の安心をしっかりと支える社会をつくるため、後期高齢者医療制度において保険料の大幅な上昇を抑制するとともに、高齢者福祉施設の前倒し整備に取り組みます。
 また、ねんりんスポーツ・文化祭の開催をはじめ高齢者が活躍する社会づくりを進めてまいります。
 次に、障害のある人が自立していきいきと暮らせる社会づくりについてであります。
 障害者自立支援法の円滑な実施のため、事業者や利用者の負担軽減などの臨時対策事業を実施するとともに、施設における介護技術等の研修への支援を行ってまいります。
 また、情報関連分野の特例子会社において精神障害者の実務訓練を実施するとともに、知的障害特別支援学校の教育課程に販売・サービス業に関する作業学習を加えるなど障害者の就職支援を強化してまいります。
 さらに、肢体不自由児の整形外科治療を行う粕屋新光園の建て替えに着手するとともに、重度障害者の医療費に対する助成、障害者がつくるまごころ製品の販路拡大に取り組みます。
 次に、男女が共に能力を発揮できる共同参画社会づくりについてであります。
 地域において母子家庭やDV被害者などを支援する女性団体を積極的に育成するとともに、配偶者からの暴力に関する相談事業や被害者の再出発応援事業などに取り組んでまいります。

 重点施策の第四の柱は「安全安心な社会づくり」であります。
 まず、健やかで安全安心に暮らせる社会づくりについてであります。
 強毒性インフルエンザの発生に備え、抗インフルエンザ薬の追加備蓄や専用外来設置医療機関における感染症予防設備の整備に対する支援を行います。
 また、がん拠点病院に県指定の病院を加えるとともに、肝疾患の診療連携拠点病院を新たに指定し、医療従事者の研修や県民からの相談体制の充実を図ります。
 このほか、地域医療の充実を図るため、八女・筑後及び京築保健医療圏において救急医療、小児医療、へき地医療体制の強化を図ってまいります。
 安全安心まちづくりにつきましては、地域防犯団体に対する支援を行うとともに、女性や子どもを守る活動に参加する企業や団体の募集を行うなど、地域の防犯体制の整備に努めてまいります。
 交通安全対策につきましては、高齢者に対する地域の交通安全活動を支援するとともに、信号機、道路標識などの交通安全施設の整備を進めてまいります。
 このほか、県や市町村における消費生活相談窓口の機能強化を図るとともに、自殺防止相談窓口の24時間体制への移行や、食品衛生の監視指導の強化などに取り組みます。
 次に、災害など危機に強い社会づくりについてであります。
 自主防災組織の育成強化など地域防災力の向上を図るとともに、災害時の医薬品の備蓄や災害派遣医療チームへの運営支援を行ってまいります。
 また、土砂災害警戒区域などの指定を早急に進めるとともに、昨年の中国・九州北部豪雨で被災した河川等において、災害の再発を防止する災害関連事業を実施してまいります。
 次に、暴力団の撲滅と治安の確保についてであります。
 暴力団排除条例に基づき、公共事業からの暴力団排除を徹底して行うとともに、被害者の保護対策の強化、暴力団追放地域決起会議の開催など、県民と一体となった暴力団の追放を強力に推進します。
 また、治安の確保を図るため、警察官を55人増員するほか、暴力団等に対する捜査、取締りや歓楽街等における犯罪対策を徹底してまいります。

 重点施策の第五の柱は「教育力の向上と文化・スポーツの振興」であります。
 まず、志を持ったたくましい青少年の育成についてであります。
 青少年が自らの目標を見出し、たくましく成長することができるよう家庭、地域、学校、企業等が連携して環境を整備していくことが重要であります。
 このため、アンビシャス広場などアンビシャス運動の拡大に努めるとともに、幼児読書の推進、青少年アンビシャスの翼や日本の次世代リーダー養成塾、青少年の外国留学の支援などを実施します。
 また、いじめ及び不登校問題につきましては、不登校児童に対して登校・学習指導を行う指導員を新たに配置するとともに、スクールカウンセラー等による相談、福岡県立大学における不登校・ひきこもりサポートセンターの運営などを実施します。
 青少年の非行防止につきましては、新ストップ非行県民運動として、複数の市町が広域的に取り組む街頭活動や大学生ボランティアによる補導活動を実施してまいります。
 次に、学力・体力・意欲を向上させる学校教育の推進についてであります。
 志をもって意欲的に学び、自律心と思いやりの心をもったたくましい子どもを育てる「福岡の教育ビジョン」を県民運動として引き続き推進してまいります。
 また、全国学力・学習状況調査について、本県では引き続き悉皆方式により実施するとともに、市町村による学力向上プラン推進のための取組への支援を行ってまいります。
 体力向上については、小学1年生から高校3年生までを対象に、体力・運動能力の調査を新たに実施するとともに、小中学校への指導者の派遣など体力向上方策に取り組みます。
 さらに、家庭の状況にかかわらず高校生が安心して勉学に打ち込めるよう、県立高校の授業料を原則不徴収とし、私立高校などの生徒に対しては高等学校等就学支援金を支給することとしております。
 このほか、県が設立した3公立大学法人に対する運営費交付金や私立学校教育振興のための運営費補助金など必要な助成措置を講じてまいります。
 次に、歴史文化、スポーツ、生涯学習の振興についてであります。
 世界文化遺産暫定リストに記載された「宗像・沖ノ島と関連遺産群」及び「九州・山口の近代化産業遺産群」が早期に世界文化遺産に登録されるよう官民一体となった取組を進めてまいります。
 また、11月、九州歴史資料館の小郡市への移転開館に伴い、開館記念特別展を実施するとともに、県と市町村が共同で設置する公文書館の建設に取り組むこととしております。
 さらに、「県民文化祭」や「スポーツフェスタふくおか」を開催するほか、高齢者の社会参加活動を促進する交流拠点の運営など生涯学習の推進を図ってまいります。

 重点施策の第六の柱は「次代へつなぐ豊かな環境づくり」であります。
 まず、環境の保全と循環型社会づくりについてであります。
 大牟田RDF発電事業におけるゴミ処理技術の調査を行うとともに、木質バイオマス供給システムの開発やバイオマス循環利用施設の整備に対する助成を行ってまいります。
 また、温室効果ガス排出量取引を促進するため、国内クレジット制度のモデル事業や中小企業の省エネルギー化を支援するほか、LED照明普及啓発キャンペーンや低炭素社会のまちづくり方策を示したガイドラインの策定を行うなど、地球温暖化対策に取り組んでまいります。
 次に、緑豊かで美しい県土づくりについてであります。
 二酸化炭素の吸収や県土の保全など多様な機能を有する森林を県民共有の財産として守り育てるため、森林環境税を活用し、荒廃した森林の再生と県民参加の森林(もり)づくりを推進します。
 また、効率的な治水や水資源の安定的な確保を図るため、五ヶ山ダムや伊良原ダムの建設を着実に進めてまいります。
 このほか、海岸漂着物対策やイノシシなどの有害鳥獣対策の強化に取り組みます。
 次に、快適な生活環境づくりについてであります。
 快適で潤いのあるまちづくりを推進し、県民一人ひとりが生活の豊かさとゆとりを実感できる環境づくりを進める必要があります。このため、都市公園や水辺環境、下水道の整備、浄化槽設置に対する助成、居住環境や市街地整備の促進などに取り組んでまいります。

 重点施策の第七の柱は「地方分権時代に躍進する福岡県づくり」であります。
 まず、生活満足度を高める広域地域振興の推進についてであります。
 地域の一体的発展を図る筑後ネットワーク田園都市圏構想、京築連帯アメニティ都市圏構想を推進するとともに、遠賀・中間、福岡近郊、筑豊地域における地域活性化プロジェクトに取り組んでまいります。
 また、筑後市の温泉開発等による広域観光拠点や豊前市の京築神楽文化交流拠点の整備など創意と工夫にあふれ地域の特性を活かした取組を支援します。
 さらに、市町村合併後の一体的なまちづくりを引き続き支援してまいります。
 九州新幹線・鹿児島ルートが全線開通します。この機を捉え、開業に向けた記念イベントの開催、筑後地域の観光キャンペーンの実施など福岡県の魅力の発信と地域の活性化を推進してまいります。
 次に、地方分権を活かす行財政システムづくりについてであります。
 職員数の削減、職員の意識改革など行政改革大綱に基づく行財政改革を進めるとともに、地方分権改革に伴う国の義務付け・枠付けの見直しについて、市町村と連携しながら対応してまいります。
 また、専任組織による市町村の税の徴収力向上に努めるほか、県外の高額滞納法人への徴収体制強化を図ってまいります。

 本日、ここに提案いたしております議案は、ただいまご説明申し上げました平成22年度予算議案20件のほか、条例議案13件、専決処分したものについて報告し承認を求める議案1件、契約の締結に関する議案4件、経費負担に関する議案3件、その他の議案5件であります。
 このうち、条例議案についてその概要をご説明申し上げます。
 第一は、公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律の制定に伴い、県立高等学校の授業料等の徴収について所要の規定の整備を行うため、「福岡県立学校授業料等徴収条例及び福岡県立高等学校通信教育入学料及び受講料条例」の一部を改正するものであります。
 第二は、高齢者の医療の確保に関する法律の一部改正に伴い、保険料の増加を抑制することについて、基金の処分を可能とするほか、所要の規定を整備するため、「福岡県後期高齢者医療財政安定化基金条例」の一部を改正するものであります。
 第三は、「福岡県地域医療医師奨学金貸与条例」の制定であります。その内容は、地域医療再生計画に基づき、医師確保が困難な診療科等において医師として勤務しようとする者に対し、奨学金を貸与するものであります。
 第四は、土壌汚染対策法の一部を改正する法律の制定により、汚染土壌処理業の許可の更新等について定められたことに伴い、当該許可の更新に係る手数料の額等について定めるため、「福岡県土壌汚染対策法関係手数料条例」の一部を改正するものであります。
 第五は、「九州歴史資料館条例」の一部を改正する条例であります。その内容は、九州歴史資料館の移転に伴い、その位置を改めるとともに、入館料等について定めるものであります。
 そのほか、アジア文化交流センターに茶室を整備したことに伴いその使用料を定めるもの、県立学校及び市町村立学校の教育内容の充実、児童生徒数の変動等に伴い当該学校の職員の定数を改めるもの、警察法施行令の一部改正により本県警察官の定員等を改めるものなどであります。

追加提出議案(平成22年3月4日)

 本日、追加提案いたしました議案は29件でありますが、その内訳は平成21年度補正予算関係議案14件、条例議案1件、経費負担に関する議案14件であります。

 まず、予算議案についてご説明申し上げます。
 今回の補正予算は、国の補正予算関連経費について追加するほか、国庫支出金等の決定に伴う追加経費、その他県政運営上年度内に措置する必要がある経費について増額補正するものであります。また、経費の節減などにより年度内の所要額がほぼ確定した事業費等について減額補正を行っております。
 補正予算の額は、一般会計で173億4,300万円余を増額し、特別会計で24億7,500万円余を減額いたしております。また、企業会計では、電気事業会計ほか2会計で補正を行っております。
 その結果、平成21年度予算の総額は、一般会計で1兆7,403億2,800万円余、特別会計で4,032億1,100万円余と相成っております。
 本年度の県税収入は、厳しい経済情勢を反映して、現計予算額を313億円程度下回ることが見込まれることから、これを減額し、代わるべき財源として減収補てん債などを計上することとしております。
 次に、歳出予算で追加いたしました主な経費についてご説明申し上げます。
 県単独公共事業関係として、道路防災工事、河川改修工事、治山施設の整備費などを増額するとともに、半導体先端実装研究評価センター(仮称)やソフトウェア産業振興センター(仮称)の整備に要する経費を新たに措置しております。  また、生活保護費などの社会保障費や直轄事業費負担金を増額しております。
 これらの事業費のほかに、地域活性化・公共投資臨時交付金、緊急雇用創出事業臨時特例交付金などを財源とする基金の造成費を計上しております。
 以上が補正予算の概要であります。

 条例議案は、国の交付金を活用して地域医療の充実を図るため、「福岡県地域医療再生基金条例」を制定するものであります。
 経費負担に関する議案は、農業農村環境整備事業ほか11件について市町村の負担すべき金額を定めるもの及び空港整備事業ほか1件について議決内容の一部を変更するものであります。

 以上、提出議案の概要についてご説明申し上げましたが、いずれの議案も県政運営上緊要なものでありますので、慎重ご審議の上、議決下さいますようお願い申し上げます。

追加提出議案(平成22年3月26日)

 本日、追加提案いたしました議案は、「福岡県副知事倫理条例の制定について」及び「知事の給料の特例に関する条例の制定について」の2件であります。
 町村会職員による詐欺事件に端を発した県職員の倫理問題については、職員倫理調査委員会から、事実関係の調査結果及び再発防止に向けた提言を受けたところであります。これを踏まえ、副知事の倫理を確立するため、副知事が遵守すべき規範や条例遵守の実効性を確保するための宣誓等を内容とする、副知事倫理条例を新たに制定いたしたいと考えております。
 また、今回の事件に関し、私自身の責任を明らかにするため、給料月額の50パーセントを4月から6か月間減額する条例を制定いたしたいと考えております。
 今後、二度とこのような問題を起こさぬよう、不退転の決意を持って再発防止に取り組むとともに、公正・明朗な県政を実行し、県民の信頼回復に全力を挙げて取り組んでまいる所存であります。
 以上が提出議案の概要でありますが、慎重ご審議の上、議決下さいますようお願い申し上げます。


日程提出議案 | 知事議案説明要旨 | 代表質問一般質問
採決結果審議の概要可決された意見書・決議、採択された請願