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平成23年6月定例会の知事議案説明要旨

当初提出議案(平成23年6月22日)

 本日ここに、第2回定例県議会を招集いたしましたところ、議員の皆様におかれましては、ご参集いただき、厚くお礼申し上げます。
 このたびの議会は、県政運営の基本となる平成23年度の当初予算をはじめ、多くの重要な案件についてご審議をお願いするものであります。
 議案の説明に先立ち、まず県政運営に関する私の所信を申し上げ、議員各位をはじめ、県民の皆様のご理解と、より一層のご協力をお願い申し上げる次第であります。

 私が知事に就任して2か月が経過いたしました。
これまで、各部局から県が直面する様々な課題について報告を受け、これから成すべき政策について日々考えてまいりました。また、時間の許す限りいろいろな方からお話を伺い、地域が抱える課題や県政に対する期待を私なりに感じてまいりました。
 私は、県民一人ひとりが福岡県に生まれ、生活して良かったと実感できる「県民幸福度日本一」の福岡県を県民の皆様と共に目指してまいります。かつて日本人は、戦後の廃墟の中から立ち上がり、昨日より今日、今日より明日は良くなると将来に希望を持ち、豊かな社会を築いてきました。そのような希望や幸福を実感できる地域社会を再構築したいと考えています。
 本県には大きな発展の可能性があります。時代の変化を的確に捉えるとともに、県民の皆様の思いやニーズを受け止め、全身全霊で県政に取り組む決意であります。

 この国を大きく揺るがし、多くの尊い命を奪った東日本大震災から既に3か月が過ぎました。
 本県では、一日も早く被災地が復旧・復興を果たし、被災された方々に平穏な生活を取り戻していただくため、震災後直ちに物資の搬送や義援金の受付を開始し、避難されてきた方々に対する住宅の提供や教育、就職など生活全般にわたる支援を行っています。 
 また、総計約2,100人の県や市町村の職員、警察官を被災地に派遣し、行政機能の回復や行方不明者の捜索、治安の確保、被災者の健康維持、インフラの復旧など全力で支援を行っているところです。
 これまで、多くの県民や企業の皆様から、たくさんの救援物資や義援金をいただきました。また、多くのボランティアの皆様が様々な支援活動に携わっておられます。被災された方々を思いやる皆様の温かい気持ちに深く感銘を受け、心から敬意を表します。

 リーマンショックに端を発した世界同時不況からの経済再生、国際競争の激化、深刻な財政状況、少子高齢化の進展とこれに対応した社会保障制度の抜本改革など、課題山積で正念場にあった日本に、大震災による甚大な被害が加わり、我が国はこれまでに経験したことのない大きな試練を迎えています。
 被災地の復興には、息の長い取組みが必要であります。復興には、国民の力を結集していかなければならず、この試練の中にあって、なんとしてもこの日本の国力を維持していかなければなりません。
 本県は、西日本屈指の人口と経済力、そして潜在力を有しています。また、成長著しいアジアと距離的に近いだけでなく、経済や文化、環境など様々な分野で緊密な交流の歴史を築いてきました。
 本県がその持てる力や強みを最大限に発揮し、まず福岡県を元気にし、その元気を東日本に届け、元気の輪を日本全体に広げていく。この国のために大きな役割を果たしたいと考えております。「元気を西から」です。
 そのためには、まず何よりも、活力と成長力に満ちた経済と雇用を創っていくことが不可欠です。経済を回復させ強くすることは、税源を涵養し、将来にわたる安定的な財政運営のためにも重要です。

 雇用の8割を担い、地域経済を支える中小企業の振興のため、金融・経営、製品開発、販路拡大などの支援をきめ細かく実施します。特に、震災による影響を受けた企業への金融支援を強化し、その影響の緩和・解消に努めます。また、本県に生産拠点を移す企業に対しては、受け皿となる施策を展開します。

 農林水産業は、国民の生活を支える大切な産業であります。また、国土の保全、食の安全・安心、豊かな食文化など多面的な機能を担っており、活力と魅力にあふれ、将来に希望の持てる産業として発展させなければなりません。
 広く県民の皆様に農業の重要性とその役割について、理解と認識を深めていただくための取組みを進めていきます。
 水田農業につきましては、農業就業者の高齢化の進行を踏まえ、農業生産法人、専業農家など永続性のある担い手への農作業の集約を図り、経営力を高めるとともに、米の消費拡大に取り組みます。        
 また、雇用型経営への転換や経営規模の拡大など高収益型の園芸農業の育成を推進します。
 さらに、生産に加え、商工業者と連携して加工や流通まで手がける農業者に対する支援や、ブランド化による農林水産物の競争力強化を進めます。

 本県が今後とも発展、繁栄していくためには、成長著しいアジア諸国の活力を積極的に取り入れていかなければなりません。「福岡・アジア国際戦略特区構想」を着実に進め、中小企業の海外展開を強力に支援するなど、アジアのビジネス拠点を目指してまいります。
 また、これからの成長が期待される先端産業の育成、九州一体となった観光振興など、将来にわたり本県の成長力を高める分野にも積極的に取り組みます。

 震災の影響により電力供給への不安が高まっています。電力は、国民生活と産業活動にとって極めて重要な基盤であります。国に対しては、原子力発電の安全性確保、電力を含めたエネルギーの安定供給に全力を尽くすよう求めるとともに、電力会社には、県民生活と経済活動に支障が生じないよう、万全の対策を求めているところです。県としても、省エネルギー・節電運動を県民運動として展開するとともに、公共施設や交通信号機のLED化を進めます。さらに、次世代のエネルギーである水素エネルギーの早期実用化を推進します。

 社会資本整備は、地域の発展力を高め、また現下の景気・雇用を下支えするためにも大きな役割を果たすものであります。このため、国の補助による公共事業費が、被災地の復旧・復興への重点配分のため大きく減額される中、県単独公共事業費については大幅に増やし、前年度を上回る予算を確保しました。

 安全・安心は生活の基本であります。今回の大震災は、地震や津波、さらに原子力発電所の事故が複合した極めて深刻な災害であり、その被害は22都道県の広い範囲に及んでおります。
 本県では、平成17年の福岡県西方沖地震の後に地域防災計画の改定を行いましたが、今回のような巨大な災害にも対応できるよう、地震、津波、原子力発電所の事故を想定した地域防災計画の見直しを行います。知事就任後直ちに専任組織を設置して、これまで地域防災計画の点検項目や課題を整理し、昨日は関係機関も参加した福岡県防災会議を開催するなど、見直し作業を進めているところであります。
 また、地域コミュニティを活かして自主防災組織を育成・強化するとともに、学校、病院などの建築物の耐震化を進め、ソフト・ハード両面から災害に強いまちづくりを推進します。

 誰もが健やかで生きがいを持ち、共に支えあい、安心して暮らせる社会をつくることも大切です。
 このため、70 歳現役社会の推進や障害者の就業・生活基盤の強化など、高齢者や障害者の皆様がはつらつと生活し、また女性がいきいきと働き活躍する社会にしていきます。
 その際、待機児童を解消する保育所の緊急整備などの子育て支援、NPOやボランティアが活躍する共助社会づくりなどにも積極的に取り組みます。

 本県では、全国に先駆けて暴力団排除条例を制定し、警察、行政、県民、企業が一体となって暴力団の撲滅に取り組んでまいりました。しかしながら、拳銃や爆発物を使った事件が相次いで発生し、県民の皆様の安全な暮らしが脅かされる深刻な事態が続いています。
 警察による取締りの強化や、国や県、市町村のあらゆる公的事業はもとより、民間の経済活動からの徹底した暴力団の排除など、考えられる限りの手段を講じて暴力団の壊滅を図らなければなりません。
 このため、暴力団排除条例のさらなる強化についても検討を進める考えであります。

 教育は国の根幹です。子どもたちは大きな可能性を秘め、次代の福岡県、日本を担う宝です。
 海外留学や先端科学技術の体験、思考力の基となる読書活動の推進などにより、学力や個性を大いに伸ばし、高い志を持つたくましい子どもたちを育てていきます。

 将来にわたって豊かな環境を保全し、快適に暮らせる持続可能な社会をつくることも重要です。
 このため、循環型社会を目指し、リサイクルや森林再生などに取り組むとともに、快適で便利な生活環境をつくるため、公園や道路、下水道の整備などを推進します。

 厳しい試練に直面する日本にあって、これからの復興と国力の維持の一翼を担うという気概を持ち、幸福を実感でき元気な福岡県を県民の皆様と共につくってまいります。

 ここで、平成23年度の当初予算についてご説明申し上げます。

 地方財政は、社会保障関係経費の自然増などにより、依然として大幅な財源不足が続いています。
 平成23年度の国の当初予算は、社会保障関係経費を除き全体として緊縮型で編成されました。その後、政府は震災対応以外の公共事業費について、5%の執行停止を決定いたしました。公共事業予算は、既に前年度に比べ5%削減されていたことから、被災地以外の自治体に対する配分は、総じて1割以上減額される見込みとなりました。

 このような厳しい状況の下、私にとって初めての予算編成でありますが、職員定員の削減や事務事業の見直しなど、行財政改革に引き続き取り組む一方、経済の回復と成長に配慮した、メリハリを付けた予算配分を行うことといたしました。
 今回の予算は、「県民幸福度日本一」の福岡県を目指して編成した予算であります。
 また、「元気を西から」を合言葉に、まず福岡県を元気にするという方針で臨んだところであります。

 この結果、平成23年度の当初予算は、
 一般会計で、1兆6,195億1,000万円余
 特別会計の総額で、4,055億2,100万円余
 企業会計の総額で、109億7,000万円余
の規模と相成っております。
 一般会計につきまして、その内容を概括的に申し上げますと、予算規模は前年度当初予算比で、1.9%の増となっております。また、公債費や地方消費税清算金などを除いた一般歳出は1.0%の増となっております。
 歳出予算のうち、行政施策費については、国庫補助行政費は減少したものの、県単独行政費は前年度に比べ59億円の増といたしました。
 公共事業費については、補助公共事業費が大幅に減少する中、地域経済の発展と景気の下支えを図るため、県単独公共事業費を前年度に比べ112億円、14.6%増額しました。
 社会保障費については、後期高齢者医療給付費負担金や介護給付費負担金が増加するなど、前年度に比べ137億円の増となっております。
 公債費については、過去に借り入れた県債の償還及び利子の支払いが増加し、前年度に比べ53億円の増となっております。
 一方、職員給与費については、定員削減の取組みなどにより、前年度に比べ14億円の減となりました。
 歳入予算につきましては、法人2税等の増収により、県税等の収入が前年度に比べ357億円の増となっております。
 一方、地方交付税の振替措置である臨時財政対策債を含めた地方交付税等は、前年度に比べ160億円の減となりました。また、国庫支出金は、前年度に比べ84億円の減となっております。
 歳入・歳出全般にわたって極力財源不足の圧縮に努めたところでありますが、106億円の財源不足が生じる見込みとなりました。これに対しては、財政調整基金や減債基金等を繰り入れて、収支の均衡を図ることとしたところであります。

 以上、当初予算の概要について申し述べました。予算編成においては、「県民幸福度日本一」を目指し、県民の皆様が幸せを感じ、その実現につながる施策を体系的に整理し、重点的に進めることとしました。

 施策の体系に従い、歳出予算の主な内容につきましてご説明申し上げます。

 第一は「「元気を西から」活力と成長力に満ちた経済と雇用の創出」であります。
 まず、地域経済を支える中小企業の振興であります。
 震災により影響を受けた県内中小企業の経営安定を図るため、緊急経済対策資金に「震災関連特別枠」を創設し、中小企業振興資金の融資枠を拡大します。
 また、本県への生産拠点の移転や県内で増産を行う企業の資金調達の円滑化を図るため、新たな低利融資制度「日本復興企業応援融資」を創設いたします。
 中小企業の経営革新支援や商工会議所、商工会による経営指導を推進します。
 さらに、商店街等が行うプレミアム付き地域商品券の発行や出張販売・宅配などの取組みを支援するとともに、地場産品のブランド化による販売促進などにも取り組みます。
 次に、活力と魅力にあふれる農林水産業づくりであります。
 農林水産物の付加価値を高めるためには、ブランド化を進め、販路の拡大を図ることが重要であります。
 このため、次世代「あまおう」やナシ、大豆の新品種開発を進めるとともに、新たに種なしで糖度の高い甘柿の新品種「秋王」の苗木の大量増殖及び早期成園化技術の開発を始めます。また、「とよみつひめ」の品質向上や流通コストの削減にも取り組みます。
 高品質な農産物の輸出促進を進めます。最大の輸出地である香港において、原子力発電所事故に伴う風評被害対策に取り組みます。
 高収益型の園芸農業の育成強化を図るため、いわゆる六次産業化を目指す農業者に対する新たな助成を行います。
 水田農業については、規模の拡大等に取り組む法人や専業農家への支援を強化しました。
 また、農業者の皆様が手塩に掛けた農産物を鳥獣から守るため、侵入防止柵の設置などに対する助成を行います。
 新たに「ふくおかの農業応援団」づくりに取り組みます。農業の役割を解説するDVDの全小学校への配布や「ふくおかの農業応援ファミリー」、「ふくおかの農業応援の店」の登録・認定事業を展開します。
 さらに、子どもの頃から県産果実の美味しさに親しんでもらい、将来の消費につなげていくため、学校給食への県産果実の提供も始めます。
 林業については、森林や林道の整備、担い手対策に取り組むとともに、県産木材の安定供給体制の構築を進め、県産材の競争力強化を図ります。
 水産業については、水産資源の増殖技術の開発や有明海の漁場改善のための覆砂事業を実施するとともに、新たに安定出荷に必要な海上蓄養施設などの整備に取り組みます。
 次に、アジアに向けたビジネス・交流拠点づくりであります。
 福岡・アジア国際戦略特区を推進するため、産学官による推進会議やフォーラムを開催します。
 中小企業海外展開ワンストップ支援センター(仮称)の設置やアジアの中小企業経営者と県内企業との交流などにより、県内中小企業のアジア展開を積極的に支援します。
 また、アジアの環境問題の解決や本県の環境産業の振興に資するため、アジア自治体間環境協力会議を設置するほか、国際環境人材の育成、環境協力事業を進めます。
 江蘇省やハノイ市に加え、新たにバンコク都との環境交流促進協定の締結を進めるとともに、商談会等による環境ビジネスの海外展開を支援します。
 さらに、福岡アジアコレクションの海外開催や多言語ウェブサイト「アジアンビート」を核に、アジアの若者文化の拠点化を進めます。
 バンコク都との友好提携5周年記念事業や海外福岡県人会との交流、九州国立博物館における国際文化交流なども実施します。
 外国人患者受け入れの総合窓口として、アジア医療サポートセンター(仮称)を設置するなどアジアの高度医療拠点化にも取り組みます。
 次に、21世紀型先端成長産業の育成であります。
 自動車生産拠点としての北部九州地域のさらなる発展に向け、自動車先端人材育成センターを創設するとともに、高機能部品産業の集積や地場企業の取引拡大などに取り組みます。
 先端システムLSIの開発拠点化を進めます。回路設計から試作・組立、実証・評価を支援する拠点施設の一体的活用を図る次世代社会システム総合研究所の体制を整備し、企業集積をさらに加速させます。
 また、Rubyビジネスやゲーム、映像などのコンテンツ産業の育成・強化を図ります。
 がんペプチドワクチンの実用化などバイオ産業の拠点化、医療・介護・生活支援ロボットの開発、ナノテクノロジーを核とした産業の育成、素材産業やものづくり技術の集積を活かした航空機産業の誘致に取り組みます。
 有機EL(電子発光)新素材による製品化を迅速に進め、北部九州を有機EL関連産業の一大研究開発拠点とするため、中核となる有機光エレクトロニクス産学連携実用化基盤センター(仮称)の整備費を計上しております。
 さらに、先端基礎科学次世代加速器研究会の活動を強化するとともに、ILC(大型直線加速器)の建設可能性調査を実施します。
 次に、きめ細かな就職支援と職業能力の向上であります。
 厳しい雇用情勢が続く中、個々の求職者の置かれた状況に応じた、きめ細かな就職支援を行います。中高年就職支援センターや30代チャレンジ応援センター、若者しごとサポートセンターにおいては、早期就職を目指し、相談から研修、会社説明会に加え体験雇用まで一貫した支援を実施します。
 子育て女性就職支援センターにおいては、子育て女性が働きやすい企業の求人開拓を行い、相談から就職斡旋までワンストップで支援します。
 また、街かど日曜労働相談会を開催し、相談体制の充実を図ります。
 職業訓練については、高等技術専門校や県立工業高校において、産業界が求める即戦力となる人材の育成に取り組みます。
 高等技術専門校では、ニーズが高いハイブリッド車の整備技術を有する自動車整備士の養成訓練を新たに実施します。
 次に、九州一体となった観光の振興と福岡の魅力発信であります。
 九州地方知事会や九州観光推進機構と連携し、福岡・九州の魅力を広く紹介するとともに、原子力発電所事故に伴う風評被害を払拭するPR活動を展開し、アジアからの観光客誘致の強化に取り組みます。
 また、クルーズ船については、本県への寄港定着や乗船客の県内各地への観光の拡大に取り組みます。
 福岡県は、それぞれの地域が大きな魅力と特性を持っています。この強みを活かし、相互に補完させ、福岡県全体の発展を目指します。地域の一体的発展を図る筑後ネットワーク田園都市圏構想や京築連帯アメニティ都市圏構想を進めるとともに、遠賀・中間、福岡近郊、筑豊地域における地域活性化プロジェクトに取り組みます。
 次に、省エネルギー・次世代エネルギー社会の実現であります。
 水素エネルギーの実用化に向け、産学官での研究開発、水素エネルギー製品研究試験センターを核とした水素関連製品の開発支援を行うとともに、北九州水素タウンにおける定置型燃料電池の技術実証や燃料電池自動車等の実地走行試験など社会実証を進めます。
 また、水素燃料電池や地中熱ヒートポンプを導入する次世代環境まちづくりに対する新たな助成を行います。
 電力需要が増加する夏場に向けて、ふくおか省エネ・節電宣言事業を実施し、家庭や企業の取組みを積極的に支援します。
 さらに、県庁や総合庁舎などの照明設備の高効率化や交通信号機、県営公園の園路照明のLED化を進めます。
 次に、国際競争力を高める社会資本の整備であります。
 アジアの拠点空港を目指す福岡空港については、滑走路の早期増設に取り組みます。
 北九州空港については、24時間機能を最大限に活かした貨物拠点化を進めるとともに、旅客便のさらなる誘致に取り組みます。
 また、苅田港、三池港の整備や貨物取扱量の拡大に取り組みます。
 さらに、高速道路へのアクセス強化や都市間を結ぶ基幹的道路の整備を進めます。
次に、東日本大震災の被災地復興・被災者支援であります。
 本県で避難生活を送られている方々には、県営住宅の無償提供や就学支援、児童生徒への心のケアなど、きめ細かな支援に努めているところであります。
 特に、求職中の方々には、出張就職相談や県・市町村における臨時職員枠の創設など、就業機会の提供を行うとともに、本県で農業を再開する方の支援も行います。
 また、被災企業に対し、県内中小企業による代替生産、技術者派遣、資材提供などの支援情報を伝え、被災地の中小企業の生産活動の再開を支援します。
 さらに、本県のインターネット通販「よかもん市場」を活用して、被災地の農産物や特産品の全国販売を支援します。

 第二は、今回の東日本大震災を踏まえた「総合的な防災対策の実施」であります。
 まず、地域防災計画の見直しと防災・救助体制の強化であります。
 地震、津波や原子力発電所事故を想定した地域防災計画の見直しに要する経費を計上しております。   
 本県の地域防災力を早急に高めるため、市町村が実施する災害対策本部の設置運営訓練、津波から身を守るための避難訓練、地域の自主防災組織の設立やその活動を支援します。
 次に、災害に強いまちづくりであります。
 県立学校をはじめとした県有施設、病院や社会福祉施設の耐震化を進めるとともに、新たに民間木造戸建て住宅の耐震改修に対して助成を行います。
 また、橋りょうの耐震補強工事や浸水被害が発生した河川の改修工事、土石流被害地区の砂防工事、集中豪雨で被災の恐れのあるため池の整備など、災害防止事業を加速させます。

 第三は「はつらつ、健やか、共に支えあう安心社会」であります。
 まず、高齢者や障害者が安心してはつらつと生活できる社会づくりであります。
 高齢者がそれぞれの意思と能力に応じて、仕事や地域活動に活躍できる「70歳現役社会」の実現に向け、70歳現役応援センターを設置するとともに、社会全体の意識改革を進めるセミナー、シンポジウムを開催します。
 また、高齢者にやさしい自動車の社会実証実験やコンセプトの普及に取り組みます。
 高齢者がスポーツ・文化活動を通じてはつらつと活躍できるよう、「ねんりんスポーツ・文化祭」を開催します。
 高齢者福祉施設の整備を進めるとともに、県内4か所に認知症医療センターを設置します。          
 市町村におけるひとり暮らし高齢者の見守り活動や要援護者マップの策定など、地域の実情に応じた支え合い体制づくりを支援します。
 身近な地域で就業や生活面を一体的に支援する障害者就業・生活支援センターを増設するとともに、障害者職業能力開発校の訓練生に対する就職支援を強化します。
 次に、女性がいきいきと働き活躍する社会づくりであります。
 男女共同参画を推進していく人材の育成、DV被害女性や母子家庭の母親を支援する団体の育成に取り組みます。
 また、復職希望を持つ女性医師の再就業研修を実施し、職場復帰を支援します。
 次に、安心して子育てができる社会づくりであります。
 まず、出会い・結婚応援事業を強化します。
 また、子育て応援の店、子育て応援宣言企業の取組みを進め、社会全体で子育てを応援してまいります。
 働く女性にとって、保育所の不足は深刻な問題です。保育所の整備を積極的に進め、必要となる定員数を2年前倒しして確保するとともに、定員増に対応するため保育士の職場復帰を支援し、平成24年度までに待機児童の解消を目指します。
 さらに、周産期母子医療センターの運営や乳幼児医療費、ひとり親家庭等医療費、妊婦健康診査に対する助成を行います。
 深刻化する児童虐待に対応するため、職員の増員や研修の充実を図り、児童相談所の対応力を強化します。
 次に、誰もが元気に暮らせる健康社会づくりであります。
 糖尿病や慢性腎臓病など生活習慣病の重症化や合併症の発症を予防するため、保健指導を充実します。
 強毒性インフルエンザの発生に備え、抗インフルエンザ薬の追加備蓄や専用外来設置医療機関での受入れ訓練等を実施します。
 また、市町村が行う子宮頸がん予防ワクチン等の予防接種や慢性肝炎患者の医療費に対する助成、がん拠点病院に対する運営支援を行います。
 次に、NPO、ボランティアが活躍する共助社会づくりであります。
 共助社会の重要な担い手となる、NPOと企業、行政との協働事業を進めます。
 安定的な経営を行うNPOを育成するため、専門的な知識・技術を持つ人材をボランティアとして派遣するなど、NPOの自立的な活動に対する支援を行います。
 次に、県民が安全に安心して暮らせる社会づくりであります。
 地域防犯活動団体や女性・子どもを守る活動に参加する企業・団体を支援してまいります。
 また、消費生活相談や多重債務者の生活再生支援を充実するとともに、食品衛生の監視指導を強化します。
 交通安全対策については、飲酒運転事故件数ワーストワンを断固返上するため、集中的に「飲酒運転撲滅キャンペーン」を展開します。
 暴力団の撲滅に向けて、「暴力団追放!地域決起会議」の開催など、県民と一体となった活動を強力に推進します。
 昨年、県内の全市町村が暴力団排除条例を制定しました。市町村職員に対する研修を実施し、許認可や補助金の交付など、市町村の事務事業から暴力団を徹底して排除します。
 また、警察官を増員するとともに、資金の流れを分析するシステムの導入や高性能監視カメラの整備など、暴力団等に対する捜査・取締りや資金源対策、歓楽街等における犯罪対策を強化します。さらに、排除運動に関わる住民や企業の保護対策をしっかり行ってまいります。

 第四は「子どもが将来に向かって夢を広げ、はばたく社会」であります。
 まず、志を持ったたくましい青少年の育成であります。
 アンビシャス広場づくり、幼児読書の推進、日本の次世代リーダー養成塾、「青年の翼」などを実施します。
 近年、海外に目を向ける若者が少なくなりました。
 世界を舞台に活躍する優れた人材を育成するため、新たに高校生の海外留学や高校・大学等が実施する海外体験プログラムを支援します。
 青少年の非行を防止するため、新ストップ非行県民運動を展開し、複数の市町が広域的に取り組む街頭活動や大学生ボランティアによる補導活動を支援します。
 次に、確かな学力と個性を伸ばす学校教育の推進であります。
 志を持って意欲的に学び、自律心と思いやりの心をもつ、たくましい子どもを育てる「福岡の教育ビジョン」を県民運動として推進します。
 学力・学習状況調査を悉皆方式により実施するとともに、新たに算数・数学強化講座や先端科学技術体験講座を実施し、小中学生の理数教育を充実します。
 新たに、読書のおもしろさを友達に伝え、学校での様々な読書活動に取り組む小学生読書リーダーを養成します。
 また、小学校や中学校の統合を進める市町村に対し、スクールバス購入などの支援を行います。
 さらに、高等教育の質の向上を図るため、県が設立した3公立大学法人に対する運営費交付金や私立学校教育振興のための運営費補助金など、必要な助成を行います。
 本年4月、国際的に活躍する女性リーダーを育てる大学として生まれ変わった福岡女子大学の改築を進めます。
 次に、多様性を育む歴史文化・スポーツの振興であります。
 「宗像・沖ノ島と関連遺産群」及び「九州・山口の近代化産業遺産群」が、早期に世界文化遺産に登録されるよう、官民一体となった取組みを進めます。
 また、「県民文化祭」や「スポーツフェスタ・ふくおか」を開催するとともに、世界で活躍する中高生スポーツ選手を育てる優れた指導者の養成に取り組みます。

 第五は「環境にやさしく、快適に暮らせる社会」であります。
 まず、持続可能な循環型社会づくりであります。
 リサイクル総合研究センターにおいて、産学官が共同して行うリサイクルシステムの開発・実用化を推進するとともに、その成果を全国規模の展示会に出展し、普及・販路拡大に取り組みます。
 また、レアメタルや炭素繊維リサイクルに係る共同研究などにより、最先端のリサイクルシステムの構築を図ります。
 次に、緑豊かで美しい県土づくりであります。
 二酸化炭素の吸収や県土の保全など多様な機能を有する森林を大切に守り育てるため、森林環境税を活用し、荒廃した森林の再生と「県民参加の森林づくり」を進めます。
 水資源の安定供給体制を構築するため、五ヶ山ダム、伊良原ダムの建設を着実に進めます。
 次に、快適で便利な生活環境づくりであります。
 生活道路をはじめ、都市公園や水辺環境、下水道の整備を進めるとともに、浄化槽設置に対する助成、居住環境や市街地整備の促進などに取り組みます。  
 また、地域の生活交通を確保するため、コミュニティバス路線等を維持する市町村の取組みを支援します。

 第六は「県民とともに進める県政」であります。
 まず、県民幸福度日本一を目指す新しい総合計画を策定します。
 次に、行財政改革の推進であります。
 財政の健全化は大きな課題です。必要な行政ニーズに的確かつ効率的に対応するため、不断の事務事業の見直しを積極的に行います。
 今後進めていく改革の指針となる新たな行政改革大綱を策定します。
 地方分権改革に伴う国の出先機関の地方移管に取り組むとともに、権限移譲や義務付け・枠付けの見直しに、市町村と連携しながら対応してまいります。
 また、市町村が圏域で行う共同事務処理に対し積極的に支援します。
 県議会における政策の企画立案機能の充実や広域行政に関する調査研究に要する経費を計上しております。
 次に、県民に開かれた県政の推進であります。
 私自身が各市町村に出向き、地域の皆様との対話や視察を行ったり、特定のテーマを設定し、その分野で活躍されている団体や県民の皆様と意見交換を行う「知事のふるさと訪問~福岡県の未来を語ろう~」を実施します。

 本日、ここに提案いたしております議案は、ただいまご説明申し上げました平成23年度予算議案20件のほか、条例議案5件、専決処分したものについて報告し承認を求める議案4件、契約の締結に関する議案3件、経費負担に関する議案1件、財産の処分に関する議案1件、人事委員会委員の選任など人事に関する議案3件であります。
 このうち、条例議案についてその概要をご説明申し上げます。

 第一は、県議会機能の充実強化を図ることに伴い、議会の事務部局の職員定数を改めるため、「福岡県職員定数条例」の一部を改正するものであります。

 第二は「福岡県税条例」等の一部を改正する条例であります。その内容は、地方税法の一部改正に伴い、東日本大震災の被災者の負担軽減のため、住宅借入金等特別税額控除の適用の特例措置を講じるとともに、平成23年6月30日に期限の到来する不動産取得税における税負担軽減措置について、その期限を延長するほか、所要の規定の整備を行うものであります。

 第三は「東日本大震災の被災者に対する使用料及び手数料の免除等に関する条例」の制定であります。その内容は、被災者の負担の軽減を図るため、被災者の日常生活の回復等に資する県の使用料及び手数料の免除等に関し、必要な事項を定めるものであります。

 第四は「東日本大震災の被災者に係る福岡県旅券発給手数料の特例に関する条例」の制定であります。その内容は、東日本大震災の被災者に係る一般旅券の発給の特例に関する法律が制定されたことを踏まえ、一般旅券を紛失又は焼失した被災者に発給する震災特例旅券について、その発給に係る県の手数料の納付を不要とする特例を定めるものであります。

 第五は「福岡県産業廃棄物の不適正処理の防止に関する条例」の一部を改正する条例であります。その内容は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部改正により、条例に定める制度と同様の趣旨の制度が設けられたことに伴い、重複を避けるため、関係規定について削除するほか、所要の規定の整備を行うものであります。

 以上、提出議案の概要についてご説明申し上げましたが、いずれの議案も県政運営上緊要なものでありますので、慎重ご審議の上、議決下さいますようお願い申し上げます。


日程提出議案 | 知事議案説明要旨 | 代表質問一般質問
採決結果可決された意見書・決議、採択された請願