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平成25年2月定例会の知事議案説明要旨

当初提出議案(平成25年2月26日)

 本日ここに、第10回定例県議会を招集いたしましたところ、議員の皆様におかれましては、ご参集いただき、厚くお礼申し上げます。
このたびの議会は、緊急経済対策としての平成24年度補正予算、これと一体となって14か月予算となる平成25年度当初予算をはじめ、多くの重要な案件についてご審議をお願いするものであります。
議案の説明に先立ち、まず県政運営に関する私の所信を申し上げ、議員各位をはじめ、県民の皆様のご理解と、より一層のご協力をお願い申し上げる次第であります。

 私が知事に就任してから1年10か月が経過しました。
これまで、可能な限り現地に赴く現場主義を信条として、全力で取り組んでまいりました。
本県では、昨年夏の豪雨により、尊い命が失われ、県内各地で甚大な被害が発生しました。被災の現場を訪れ、被災地の皆さんと話をする中で、改めて課せられた使命の重さを痛感したところであります。
一日も早く被災地の皆さんが元の生活に戻れるよう、関係者一体となって全力で取り組むとともに、県民の皆さんお一人おひとりの生活の「安定」「安全」「安心」の向上のため、これまで以上に力を尽くしていく決意であります。
かねてから申し上げておりますが、私は、地方政府が果たすべき役割は、三つ、まず第一に、雇用の場を確保すること、第二に、額に汗して頑張った人が報われ、幸せを実感できる社会にすること、第三に、それぞれの自治体の身の丈に合わせて、日本そして世界の発展に貢献していくことであると考えております。
この役割を果たすため、福岡県が持つ強みを最大限に発揮させ、まず福岡県を元気にし、この日本の国の国力の維持・増進の一翼を担いたいと考えております。
そして、誰もがこの県に生まれて良かった、生活して良かったと実感できるような、「県民幸福度日本一」の福岡県を目指してまいります。

 さて、現在、我が国は、東日本大震災からの復旧・復興、エネルギーの安定供給、経済の低迷からの脱却と雇用の創出、税と社会保障の一体改革、外交など大きな課題が山積しております。
安倍新政権は、まず、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略という「三本の矢」で、経済再生を推し進めようとしています。円安・株高の動きに加え、先に決定した緊急経済対策のための補正予算と一体となった平成25年度政府予算案により、景気回復への期待が高まっております。これを期待に終わらせることなく、我々は自らそれを現実のものにしていかなければなりません。

 本県の経済を見ますと、生産や貿易などこのところ弱めの動きとなっており、雇用は依然として厳しい状況が続いています。人は、将来の生活に不安があっては、なかなか幸せを感じることができません。
このため、まず第一に、国の予算を最大限に活用しつつ、これに本県の施策をうまく組み合わせることによって、「景気・経済・雇用対策」に全力で取り組みます。
地域の景気・経済の活性化には、まず足元を固め、経済を回復軌道に乗せることが不可欠です。「グリーンアジア国際戦略総合特区」は、これまで企業の設備投資規模が300億円を超え、これに伴う新規雇用は300人に達すると見込まれるなど順調に推移しています。今後も、特区で事業を拡大する企業を積極的に支援するとともに県内中小企業の特区関連産業への参入や取引拡大を支援し、本県産業の競争力の強化を図り、日本経済の発展に貢献してまいります。

 雇用の8割を担い、地域経済を支える中小企業については、国の制度も活用して、新製品開発、販路開拓などきめ細かく総合的に支援を行います。とりわけ、中小企業金融円滑化法の3月末の期限切れを見据え、金融機関や支援機関などで組織する「中小企業経営強化支援協議会」を通じた金融と経営の一体的支援を行ってまいります。

 将来の発展のためには、本県の強みを活かした成長産業の種を播き、育てていくことも重要です。
福岡県をはじめとする北部九州の自動車生産台数は、昨年、過去最高の146万台となり、我が国自動車産業を支える一大拠点に成長しました。地元企業の競争力を一層強化し、拠点性をさらに高めてまいります。
また、水素エネルギー、次世代有機ELなど世界的な需要拡大が期待できる分野の研究開発を促進し、産業の育成・集積を図るとともに、九州・山口の産学官政が一体となりILC(国際リニアコライダー)計画の実現を目指します。併せて、福岡空港、北九州空港をはじめ、地域発展の基盤となる社会資本の整備を進めていきます。こうしたことを通じて、経済、学術研究における世界的な拠点を目指します。

 農林水産業は、国民生活を支える大切な産業であり、意欲ある若者が活躍し、将来に希望が持てる産業として発展させなければなりません。
本県農林水産物のブランド力に一層の磨きをかけるとともに、6次産業化、高収益型の園芸農業の振興、法人化による水田農業経営の安定化などに積極的に取り組み、消費者に支持・応援され、足腰の強い農林水産業をつくってまいります。

 さらに、再生可能エネルギーの導入促進など地域におけるエネルギーの需給両面からの対策を強化し、多様なエネルギーを確保し効率的に利用する社会の実現を図っていきます。

 こうした取組みによって、経済のパイを大きくし、雇用の場の確保に努めていくと同時に、求職者の年齢や状況に応じたきめ細かな就職マッチング支援を強化して、安定した生活を送ることができる社会を目指してまいります。

 第二に、「安全・安心で災害に強い福岡県づくり」です。安全・安心な社会は、県民生活の基本であります。
災害は、とき・ところ・ひとを選びません。日頃の備えが大事であります。このため、昨年夏の豪雨災害や東日本大震災の経験を踏まえ、ハード、ソフト両面から対策を強化いたします。
まず、ハード面では、学校などの耐震化、老朽化した公共土木施設の保全・長寿命化などを図るための事業を加速します。
ソフト面では、市町村が行う地域防災計画の策定、とりわけ自主防災組織の拡充や要援護者避難対策の強化を支援します。
併せて、県に防災危機管理専門監を新設し、自衛隊等関係機関との連携を強化するなど防災危機管理体制を充実します。

 治安の確保も喫緊の課題です。
本県の暴力団対策は待ったなしの状況であり、警察官を大幅に増員いたします。また、国に要請してきた改正暴力団対策法が施行され、昨年末に「特定危険指定暴力団」、「特定抗争指定暴力団」が県公安委員会により指定されました。この新たな制度も駆使して取締りを強化するとともに、取りうる手段を精一杯講じ、県民の安全確保に努めてまいります。
なお、引き続き、国に対し、新たな捜査手法の導入、暴力団の所得に関する調査の徹底などを要請してまいります。
本県の飲酒運転事故は、2年連続して大きく減少したものの、全国の中では未だ高い水準にあります。取締り、広報啓発の強化に加えアルコール依存症対策も進め、飲酒運転撲滅に向けた取組みを加速させてまいります。また、性犯罪被害者に対し医療機関などと連携した総合的な支援体制を構築するとともに、違法ドラッグなど薬物の乱用対策にも力を入れていきます。

 廃棄物・環境対策への対応も強化してまいります。
産業廃棄物の適正な処理を図るため、監視・指導を強化するとともに、地域において長期化している問題事案の解消に向けた取組みを進めます。また、松くい虫被害の急増に対応し、総合的な防除対策に取り組みます。

 第三は、皆がはつらつと生活し、互いに支え合い扶け合う、「誰もがいきいきと活躍できる社会」を目指した施策の強化であります。
全国に先駆けて進めている、高齢者がそれぞれの意思と能力に応じて活躍する選択肢の多い社会、「70歳現役社会」の実現を目指した取組みを充実するとともに、高齢者が子育ての現場で活躍する「ふくおか子育てマイスター」の活動を一層活発化させます。また、認知症の高齢者等を地域で見守るネットワークについて、県内全域に張り巡らすべく市町村と力を合わせてこれを進めてまいります。
障害者の皆さんが安心し自立して暮らせる地域社会の実現に向け、雇用の促進、収入の向上を図ります。精神障害者の社会復帰を地域で支える体制も強化してまいります。

 経済社会が活力にあふれ持続的に発展していくためには、女性がいきいきと働き活躍することが不可欠です。女性が就業しやすい環境を整えるため、まず保育所の整備と保育士の確保に取り組み、待機児童の平成25年度中の解消を目指します。併せて、経済界と連携して女性が活躍する場の拡大を進めてまいります。

 教育は、国の根幹であり、一人ひとりが豊かな人生を築く礎となるものであります。子どもたちは、大きな可能性を秘め、次代の福岡県、日本を担う宝です。学力や個性を大いに伸ばし、志を持ったたくましい子どもたちをしっかりと育てていきます。
経済的に厳しい家庭環境におけるいわゆる「貧困の連鎖」を断ち切ることは重要な課題です。このため、小学校就学前の子どもの基本的な生活習慣の習得及びひとり親家庭や生活保護受給世帯などそれぞれの家庭の状況に応じた生活・学習習慣の定着を各々支援し、学力の向上につなげていきます。
また、きめ細かな対応が必要な子どもたちを地域の力で守るため、医療機関などと連携して児童虐待防止のネットワークづくりに取り組むとともに、専門家の派遣などいじめ問題への対応を強化します。非行等の問題を抱える少年たちの立直り支援にも引き続き力を入れてまいります。

 県民の自主的な健康づくりを支援し、一人ひとりが長生きして良かったと実感できる社会を目指します。併せて、NPO、企業、行政などが地域の課題解決のために協力し合う「共助社会づくり」にも積極的に取り組みます。

 このように、生活者の視点を一層重視し、様々な問題を抱えている県民の皆さん一人ひとりに寄り添い、向き合う、温かみのある行政を心掛けていきたいと考えております。

 ここで、平成25年度の当初予算について、ご説明申し上げます。

 地方財政は、地方税収入や地方交付税の原資となる国税収入等が緩やかに回復する一方で、社会保障関係経費の自然増や公債費が高い水準で推移すること等により、依然として財源不足が生じるものと見込まれています。
県としては、こうした厳しい財政環境の中、引き続き歳入・歳出の改革にしっかりと取り組み、メリハリを付けた予算編成を行うこととしました。

 平成25年度の当初予算は、
一般会計で、1兆6317億300万円余
特別会計の総額で、6271億1千100万円余
企業会計の総額で、79億4千100万円余
の規模となっております。
一般会計につきまして、その内容を概括的に申し上げますと、予算規模は、前年度当初予算比で四億円の増、これは過去最大の規模となっております。また、公債費や地方消費税清算金などを除いた一般歳出は、43億円の増となっております。
歳出予算については、国の緊急経済対策を活用し、後ほどご説明申し上げます平成24年度補正予算と一体となった14ヶ月予算として、財政規律にも配慮の上、切れ目なく実施することとしました。特に、公共事業費については、補助・単独事業費合わせて、前年度比345億円、18.8%の大幅増、当初予算においても、0.8%の増となっております。
災害復旧費については、昨年夏の豪雨災害の復旧のため、30億円の増となっております。
行政施策費については、子宮頸がん等ワクチン接種や妊婦健診について、県の基金事業が終了し、市町村に直接財源措置されることになったこと等により65億円の減となっております。
社会保障費については、後期高齢者医療給付費負担金や児童保護措置費が増加するなど、前年度に比べ117億円の増、公債費は49億円の増となっております。
一方、人件費は、国からの要請への対応を検討中であり、地方公務員給与費の削減については予算計上しておりませんが、共済組合負担金の引下げ等により、前年度に比べ53億円の減となっております。

 歳入予算につきましては、昨年度からの地方消費税の落込みや税制改正の影響等により、県税等の収入が前年度に比べ103億円の減となっております。
また、地方交付税の振替措置である臨時財政対策債を含めた地方交付税等は、総額で82億円の減となっておりますが、このうち、今年度の特殊要因として、地方公務員給与費が193億円の削減となる一方、創設された「地域の元気づくり事業費」は47億円となっております。
国庫支出金については、総額で177億円の増となっておりますが、このうち、今年度は、地方公務員給与費の削減により、義務教育費国庫負担金が25億円の減となる一方、創設された「地域経済活性化・雇用創出臨時交付金」は124億円となっております。

 歳入・歳出全般にわたって極力財源不足の圧縮に努めたところでありますが、268億円の財源不足が生じる見込みとなりました。これについては、財政調整基金や減債基金等からの繰入れを行い、収支の均衡を図ったところであります。

 歳出予算の主要施策につきまして、ご説明申し上げます。

 第一は、「景気・経済・雇用対策」であります。
本県経済が今後も継続して発展していくためには、アジアの活力を取り込み、ともに発展していくことが不可欠です。
「グリーンアジア国際戦略総合特区」への企業の立地をさらに促進するための交付金を十分に確保いたします。また、特区関連事業への新規参入、設備投資を行う企業への低利融資を行うとともに、特区事業者として指定を受けた企業と直接取引する県内中小企業の設備投資を新たに助成します。

 次に、中小企業の支援についてであります。
中小企業の経営安定を図るため、緊急経済対策資金など中小企業振興資金の融資枠を十分確保するとともに、返済条件の緩和を継続します。
また、実現可能性の高い経営改善計画の策定や販路拡大を図るための専門家派遣などを行うとともに、中小企業が固有の技術を活用して進める新製品開発に対し助成します。

 次に、本県の強みを活かした成長産業の育成であります。
設計・開発から生産まで一貫して担える国際競争力の高い自動車産業の拠点形成に向け、「北部九州自動車150万台先進生産拠点推進構想」を進めます。
次世代型自動車部品の開発支援、「自動車先端人材育成センター」における人材の育成などに引き続き取り組むほか、新たに高齢者に優しい二人乗り小型車の先導的な導入実証実験を促進します。
水素エネルギーの実用化に向け、水素関連製品の開発を支援し、地場企業の参入促進を図ります。また、2015年の燃料電池自動車の市販化に向けて、水素ステーションの円滑な整備を支援します。
北部九州が有機EL(電子発光)関連産業の拠点となることを目指し、「有機光エレクトロニクス実用化開発センター」において、有機EL新素材による製品化を迅速に進めます。
さらに、「ILCアジア―九州推進会議」と連携し、ILC(国際リニアコライダー)計画を国家プロジェクトとするよう働きかけるとともに、シンポジウムを開催して、地域における一層の理解促進を図り、ILC計画の九州での実現を目指します。

 次に、九州・西日本のゲートウェイとしての強みを活かした国内外からの誘客拡大であります。
女性の視点を活かした新たな観光商品の開発のための女性モニターツアー、企業報奨旅行や海外からの修学旅行の誘致活動に取り組みます。
欧州―福岡直行便の就航、NHK大河ドラマ「軍師官兵衛」の制作・放映の好機を捉え、欧州主要都市におけるPRや黒田官兵衛ゆかりの市町村等と連携した観光プロモーションを展開します。

 次に、足腰の強い農林水産業づくりであります。
「はかた地どり」を九州一のブランドとすることを目指して、生産倍増のための設備の増強等を支援するとともに、「とよみつひめ」、「ラー麦」、「博多和牛」について、高い品質やおいしさを県内外に発信します。
高収益型の園芸農業を育成するため、生産施設等の整備を引き続き支援するとともに、新たに木質チップボイラーを活用して重油使用量を削減する暖房システムの実証に取り組みます。
また、本県農業への理解を深めていただくため、「ふくおかの農業応援団づくり」の一層の拡大を図るとともに、新たに農山村地域の住民と都市部のNPOや企業などが互いに交流し、支え合う取組みを推進します。
農林水産物の鳥獣被害を軽減するため、侵入防止柵の設置や地域ぐるみでの捕獲活動に対する支援を行うとともに、獣肉の有効活用を図ってまいります。
林業については、森林や林道の整備、担い手対策に取り組むとともに、競争力のある県産材の供給体制を確立するため、高性能林業機械の整備を支援してまいります。
水産業については、まき網漁業の収益向上を図るため、新たに、鮮度保持や省コスト型の網の実証に取り組みます。

 次に、社会資本の整備であります。
平成26年度末の供用を目指し、東九州自動車道の整備を促進するとともに、アジアの拠点空港を目指す福岡空港について、過密化を解消し利便性の向上を図るため、滑走路増設及び平行誘導路二重化を推進します。
北九州空港については、24時間運用という特色を最大限に活かした貨物の拠点化を推進するとともに、新たな国内・国際旅客便の誘致に取り組みます。
また、水資源を安定的に確保するため、五ヶ山ダムや伊良原ダムの建設を着実に進めます。快適な生活環境をつくる観点から、筑後広域公園など都市公園の整備も進めます。

 次に、多様なエネルギーを確保し、効率的に利用する社会の実現であります。
「地域エネルギー政策研究会」において、地域のエネルギー・電力需給の安定化に向けた地方の役割や今後のエネルギー政策の方向性について検討を行います。
さらに、県内の適地情報を提供する「福岡県再生可能エネルギー導入支援システム」の一層の充実を図るとともに、地産地消のモデルを構築するため、市町村が行う導入可能性調査や市町村・民間事業者が行う発電設備の整備を引き続き支援します。
また、エネルギーの効率的利用の観点から、県民、事業者、行政が一体となって節電に取り組む「ふくおか省エネ・節電県民運動」を引き続き実施するとともに、交通信号機や道路照明のLED化を進めます。

 次に、きめ細かな就職支援の強化についてであります。
「若者しごとサポートセンター」、「30代チャレンジ応援センター」、「中高年就職支援センター」、「子育て女性就職支援センター」において、引き続き、国のトライアル雇用制度の活用、ハローワークとの連携強化、職場見学会を行うほか、新たに中小企業と連携して求人開拓に取り組みます。さらに、民間職業紹介事業者の協力を得て、女性相談窓口を開設するとともに、新たに子育て女性向け職業訓練を実施し、女性の就職を支援します。
また、「緊急雇用創出事業臨時特例基金」を活用し、今後雇用拡大が見込まれる起業後10年以内の地元企業、NPOなどによる若年未就職者の雇用・人材育成を進めます。

 第二は、「安全・安心で災害に強い福岡県づくり」であります。
昨年夏の豪雨により被災した河川や土石流被災地区等の復旧を加速するとともに、ため池などの整備に取り組みます。県立学校をはじめとした県有施設や病院・社会福祉施設等の耐震化など、防災・減災対策及び社会資本の長寿命化を引き続き強力に推進します。
災害時における円滑な住民避難を図るため、市町村による災害対策本部の設置・運営訓練や避難勧告基準の改定を支援するとともに、避難時に必要な資機材の整備を助成します。
また、市町村における高齢者など要援護者一人ひとりの避難計画の策定を支援するとともに、自主防災組織の設立促進と活性化に取り組みます。
玄海原子力発電所事故に備えて、佐賀・長崎両県と県境を越える広域避難について協議を進め、両県と連携して原子力防災訓練を実施するとともに、避難時に必要なサーベイメーター等の資機材の整備を行います。

 次に、県民生活の安全を確保するための治安の向上であります。
暴力団対策のための77人を含む100人の警察官を増員するとともに、監視カメラによる保護対策の徹底、「暴力団排除特別強化地域」への防犯カメラの導入を行います。
併せて、「暴力追放運動推進センター」による代理訴訟の実施、暴力団事務所撤去運動に対する助成などにより、警察、行政、事業者、地域住民が一体となった暴力団排除活動を強化します。
また、飲酒行動に問題がある人の行動是正プログラムを作成するなどアルコール依存症対策を進め、飲酒運転の撲滅を目指します。
犯罪被害者への支援について、従来の「犯罪被害者総合サポートセンター」による取組みに加え、性犯罪被害者に対する相談体制の充実・強化を図るとともに、医療費を助成します。
また、薬物乱用撲滅のため、違法ドラッグ等の乱用防止に係る普及啓発や迅速な分析体制の整備を行います。

 産業廃棄物の処理に対する監視・指導については、安定型最終処分場の埋立て廃棄物の定期的な掘削調査、県外からの産業廃棄物搬入の事前届出制度の導入により不適正処理の早期発見・改善に努めるほか、措置命令又は改善命令を発出した後、改善の動きがない処分場に対する調査や必要な措置の検討を行います。
紙おむつのリサイクルシステムの確立に向け、福岡都市圏の病院や介護施設において、新たに排出実態調査及び広域回収の実証実験を行います。
また、海岸防風林について、松くい虫被害が増加しているため、薬剤散布に加え、新たに被害林の伐採を行う市町に対し助成します。

 第三は、「誰もがいきいきと活躍できる社会の実現」であります。
高齢者の利用が好調な「70歳現役応援センター」の利便性をより向上させるため、新たに北九州ブランチを開設するとともに、定期的な出張相談を筑豊・筑後地域で実施します。
また、高齢者の健康づくりや介護の予防につなげるため、新たに「介護予防ポイント制度」を導入する市町村を支援するとともに、介護職員が研修を受ける際の代替職員の派遣などにより、介護人材の確保・定着を進めます。
さらに、行方不明となった高齢者等を早期に発見するための「認知症高齢者等徘徊SOSネットワーク」の構築を支援するとともに、地域住民に加え、各家庭を訪問する事業者にも参加いただき、ひとり暮らし高齢者の見守り活動を充実します。
障害者の自立を促進するため、「障害者就業・生活支援センター」における就業支援に加え、企業との交流促進による特別支援学校生徒の就職拡大に取り組みます。
障害者がつくる「まごころ製品」の大規模販売会や障害者施設と民間企業等との商談会を開催するとともに、インターネットも活用し、売上げの拡大を目指します。
退院可能な精神障害者の地域における受入れを促進するため、新たに家族、サービス事業者等の間で病状悪化時の対応方法などの情報を共有します。また、医療機関を受診していない精神障害者を適切に医療につなげるため、新たに保健師の訪問指導に精神科医が同行し、専門的な立場から助言を行います。

 次に、女性が活躍する社会づくりです。
女性の就労希望が増加し、福岡都市圏を中心に保育所の入所申込みが増加しています。「子育て応援基金」による保育所の整備を積極的に進めるとともに、保育士有資格者の再就職支援等により人材を確保してまいります。新たに「子育て応援宣言企業」の合同会社説明会、企業へのアドバイザー派遣、企業経営者等を対象とするフォーラムの実施により、女性の社会進出を応援します。

 次に、将来に向かってはばたける子どもの育成です。
児童生徒の学力向上のため、新たに小5から中3を対象とした教材集の作成、診断テストを行うとともに、
学習支援員による補充学習を通して、学習習慣の定着を図ります。
また、各地域に就学前支援員を配置し、保育所入所児童等の基本的生活習慣の習得を進めます。
ひとり親家庭の児童に対しては大学生等のボランティアを派遣し、学習支援や進学相談を行い、中学生がいる生活保護受給世帯に対しては専門職の支援員による生活習慣の改善を図ります。
これらの取組みにより、経済的に厳しい家庭に対するきめ細かな支援を行ってまいります。

 夢を持ち続けることの大切さを伝えるため、青少年アンビシャス運動応援大使の若田光一宇宙飛行士の国際宇宙ステーション長期滞在に合わせて、子どもたちとのライブ交信を実施します。
新たに、各地域のアンビシャス広場間の交流及び地域貢献に意欲のある企業・学生と広場とのマッチングを推進します。
一方で、きめ細かな対応が必要な子どもを守るための施策も充実します。
虐待が疑われる児童を早期に発見し、児童相談所への通告につなげるため、県内2か所に児童虐待防止の拠点病院を指定し、専門のコーディネーターを配置します。
いじめ問題の未然防止、早期発見、早期対応を強化するため、新たに、専門家からなる「心のレスキュー隊」を派遣するなど、学校現場の取組みを支援します。
また、非行少年等の立直りを支援するため、市町村が地域団体とともに行う居場所づくりなどの自立支援活動を助成するほか、NPOと協働して就労体験事業を実施します。
私立学校の経営の健全性を確保し、保護者の経済的負担の軽減を図るため、私立学校に対する必要な助成を行います。

 次に、県民の皆様に、生涯を通じて健康に暮らしていただくための社会づくりであります。
簡易に健康状態等を確認できる「福岡県健康づくりポータルサイト」を活用し、広く県民の自主的な健康づくりを進めるとともに、新たに特定健診の受診率の低い中小事業所に対し、健康づくりアドバイザーを派遣します。さらに、乳児の先天性代謝異常等検査における対象疾患を拡大し、難病の早期発見に努めます。

 新たに、「共助社会づくり」の趣旨に賛同する県民や企業からの寄附を受け入れ、その寄附を活用してNPOの活動を支援するとともに、NPO・ボランティアと企業、行政との協働を進めます。
競争入札参加資格審査において、保護観察対象者や高齢者の雇用、防犯などへの取組みを評価項目に追加し、企業の社会貢献活動を促進します。

 平成25年度、本県においては、「筑後広域公園芸術文化交流施設」の開館、「アジア太平洋こども会議イン・福岡25周年記念事業」、「全国高等学校総合体育大会」、「海外福岡県人会世界大会」、「グランプリファイナル国際フィギュアスケート競技大会」などのイベントや行事が数多く開催される予定となっております。
これらの機会を捉え、福岡県の元気と魅力を国内外にしっかりと発信してまいります。

 次に、平成24年度の補正予算についてご説明申し上げます。

 今回の補正予算は、国の「経済危機対応・地域活性化予備費」及び「日本経済再生に向けた緊急経済対策」に係る補正予算を最大限活用した事業を実施するため必要な経費について措置するものであります。

 補正予算の額は、一般会計で695億5千700万円余、特別会計で25億5千万円余であります。これにより、一般会計の総額は、1兆7420億2千300万円余、特別会計の総額は5666億2千100万円余となります。
一般会計及び特別会計の歳入は、国庫支出金、県債及び基金繰入金等の特定財源のほか、一般財源については「地域経済活性化・雇用創出臨時交付金」等を計上しております。
このほか、公営企業会計では、工業用水道事業について所要の補正を行うことといたしております。

 次に、補正予算の主な項目について、ご説明申し上げます。
まず、景気を回復させるための公共事業を積極的に実施いたします。
河川護岸やクリーク、治山施設の整備等防災・減災対策、県有施設、社会福祉施設の耐震化・老朽化対策等に要する経費を増額いたします。
また、都市間アクセス道路や三池港・苅田港の航路整備費を追加するとともに、農業用施設の整備や覆砂による漁場環境改善などに要する経費を措置いたしました。
次に、緊急雇用創出事業であります。
新卒の未就職者に対し、企業での体験雇用により就業を促進するとともに、農業や新生活産業への人材移転を進めます。また、中小企業の新事業展開やベンチャー企業の事業拡大への支援を行い、新たな雇用を創出してまいります。
このほか、県社会福祉協議会が行う介護福祉士、社会福祉士を目指す学生に対する修学資金貸付事業に対する助成や県立高校等の理科教育に使用する実験設備整備を行います。また、住民の安心を高めるため、放射線測定器をUPZ(緊急時防護措置準備区域)内に所在する公民館等へ配備します。
これらの事業費のほかに、「緊急雇用創出事業臨時特例基金」などの積立金を計上しております。
以上が補正予算の概要であります。

 本日、ここに提案しております議案は、ただいまご説明申し上げました平成25年度予算議案20件及び平成24年度補正予算議案3件のほか、条例議案25件、契約の締結に関する議案3件、経費負担に関する議案3件、人事に関する議案3件、その他の議案5件であります。
このうち、条例議案についてその概要をご説明申し上げます。

 第一は、「福岡県暴力団排除条例の一部を改正する条例」であります。その内容は、本県からの暴力団の排除を一層推進するため、暴力団員が縄張を設定し、又は維持する目的で、特定の事業者等に対し、つきまとい等一定の行為をした場合の中止命令など、所要の規定の整備を行うものであります。

 第二は、「福岡県歯科口腔保健の推進に関する条例」の制定についてであります。その内容は、口腔の健康が県民が健康で質の高い生活を営む上で基礎的かつ重要な役割を果たしていること等に鑑み、本県における歯科口腔保健の推進に関し基本理念及び施策の基本となる事項等を定めるものであります。

 第三は、「福岡県環境影響評価条例の一部を改正する条例」であります。その内容は、「環境影響評価法」の一部改正を踏まえ、事業の計画立案段階における環境保全のために配慮すべき事項についての検討の手続を創設するなど、所要の規定の整備を行うものであります。

 第四は、「福岡県新型インフルエンザ等対策本部条例」の制定についてであります。その内容は、「新型インフルエンザ等対策特別措置法」の制定に伴い、福岡県新型インフルエンザ等対策本部に関し必要な事項を定めるものであります。

 第五は、「福岡県職員の退職手当に関する条例等の一部を改正する条例」並びに「福岡県特別職の職員及び教育長の退職手当に関する条例の一部を改正する条例」であります。その内容は、国家公務員の退職手当の額の引下げ等を踏まえ、本県職員及び特別職の職員等について退職手当の額を引き下げるものであります。

 そのほか、「福岡県消費者行政活性化基金条例」など、条例の有効期限を延長するもの7件、福岡県人事委員会の勧告等を踏まえ、福岡県職員等の給与に関する条例の一部を改正するもの3件などであります。

 以上、提出議案の概要についてご説明申し上げましたが、いずれの議案も県政運営上緊要なものでありますので、慎重ご審議の上、議決下さいますようお願い申し上げます。

追加提出議案(平成25年3月6日)

 本日、追加提案いたしました議案は、28件であります。その内訳は、平成24年度補正予算関係議案16件、条例議案1件、経費負担に関する議案11件であります。

 まず、予算議案について、ご説明申し上げます。
今回の補正予算は、国庫支出金等の決定に伴う追加経費、その他県政運営上年度内に措置する必要がある経費について、増額補正するものであります。また、経費の節減などにより年度内の所要額がほぼ確定した事業費等について、減額補正を行っております。
補正予算の額は、一般会計で269億900万円余、特別会計で15億2300万円余をそれぞれ減額しております。また、企業会計では、病院事業会計ほか3会計において増額を行っています。
その結果、平成24年度予算の総額は、一般会計で1兆7151億1400万円余、特別会計で5650億9700万円余となっております。
一般会計の歳入につきましては、県税、地方交付税のほか、歳出予算に対応した国庫支出金等の補正を行っています。
県税収入は、当初予算額を90億円程度下回る見込みでありますが、地方交付税や減収補てん債、経費の節減などにより、一般財源の確保が見込まれるため、減債基金からの繰入金を6億円減額しております。

 次に、歳出予算で追加いたしました主な経費について、説明申し上げます。
障害者自立支援給付費などの社会保障費や直轄事業負担金を増額しております。
また、市町村が行う子宮頸がん予防ワクチン等の接種に対する助成費を追加することとしております。
以上が補正予算の概要であります。

 条例議案は、「福岡県共助社会づくり基金条例」について、民間からの寄附金を活用して基金事業を継続するため、条例の有効期限に係る規定を削除するほか、所要の規定の整備を行うものであります。

 経費負担に関する議案は、海の中道海浜公園事業ほか2件について市町の負担すべき金額を定めるもの及び空港整備事業ほか7件について議決内容の一部を変更するものであります。

以上、提出議案の概要についてご説明申し上げましたが、いずれの議案も県政運営上緊要なものでありますので、慎重ご審議の上、議決下さいますようお願い申し上げます。