トップページ > 本会議の情報 > 令和2年6月定例会無戸籍問題の解消を求める意見書

無戸籍問題の解消を求める意見書

 

 無戸籍問題とは、子の出生の届出をしなければならない者が、何らかの事情で出生届を出さないために、戸籍がないまま暮らさざるを得ない子どもや成人がいるという問題である。
 無戸籍者は、自らに何ら落ち度がないにもかかわらず、特例措置などでの救済ケースを除き、住民登録や選挙権の行使、運転免許やパスポートの取得、銀行口座の開設等が出来ないだけでなく、進学、就職、結婚といった場面でも不利益を被っており、無戸籍問題は基本的人権に関わる深刻な問題である。
 最近では、特別定額給付金についても、速やかな受給に懸念が生じたところである。 無戸籍者は、同じ我が国の国民であるにもかかわらず、種々の生活上の不利益を被るだけでなく、自らが無戸籍であること自体で心の平穏を害されており、一刻も早い救済が必要である。
 よって、国におかれては、人権保護の観点からも、一刻も早い無戸籍問題の解消に努めるとともに、無戸籍者が生活上の不利益を被ることのないよう、次の事項に取り組むことを強く求める。
1 関係府省庁によるこれまでの類似の通知等により、無戸籍状態にあったとしても、一定の要件の下で各種行政サービス等を受けることができるとされているが、そのことが自治体職員まで徹底されず、誤った案内がなされている可能性が存在する。そこで、窓口担当者を含め、関係機関に対し無戸籍者問題の理解を促し、適切な対応を周知徹底すること
2 嫡出否認の手続きに関する提訴権者の拡大や、出訴期間を延ばすよう見直すほか、民法第772条第1項の嫡出推定の例外規定を設けるなど、新たな無戸籍者を生み出さないための民法改正を実行すること

 以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。

 令和2年6月24日

福岡県議会議長 栗原 渉  

衆議院議長 大島理森 殿
参議院議長 山東昭子 殿
内閣総理大臣 安倍晋三 殿
総務大臣 高市早苗 殿
法務大臣 森まさこ 殿
内閣官房長官 菅義偉 殿