トップページ > 本会議の情報 > 平成14年6月定例会 > 国際刑事裁判所(ICC)設立条約の早期批准を求める意見書(平成14年7月3日)

国際刑事裁判所(ICC)設立条約の早期批准を求める意見書(平成14年7月3日)

 戦争犯罪や大量虐殺(ジェノサイド)、人道に対する罪などを犯した個人を裁く常設の国際刑事裁判所(ICC)が来年度中にオランダのハーグに設置される見通しとなった。1998年のローマ会議で採択されたICC設立条約(ローマ条約)の批准国が本年4月11日までに66ヵ国となり、条約発効の条件である60ヵ国を突破し、本年7月1日の条約発効が確定したからである。

 世界各国に対し、同条約の批准と発効に向けて粘り強い説得と運動を続けてきた世界のNGO(非政府組織)等の努力に対し深い敬意を表する必要がある。

 ICC設置の国際法史上の重要な意義は、これまでの国際司法裁判所が領土問題など国家間の紛争を裁く裁判所であるのに対し、ICCは個人の戦争犯罪等を問う初めての権威を持った国際法廷であることである。

 いまだに国家間の戦争や紛争、そして民族、人種、宗教等を理由とした紛争が絶えない中で、戦争犯罪や大量虐殺そして人道に反する犯罪と称されるものがいくつか指摘されている。そうした犯罪行為の中心となった者を裁く国際刑事法廷の存在は、多大な犠牲を伴い、あるいは違法な戦争・武力行使等への抑止力となるとともに、取り返しのつかない戦争犯罪等への抑止力としても機能することが期待される。何よりも武力による支配から「法による支配」ヘと、世界を大きく前進させることが期待されている。

 我が国は、この条約に関して捕虜や戦争犯罪人等の取り扱いについての国内法が整備されていないという理由で批准をしていないが、早急に必要な国内法を整備すべきである。その上に立って、この条約を早急に批准し、ICCがその役割を発揮し、戦争抑止と国際平和への貢献を適切に果たせるようにすべきである。

 以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。

 平成14年7月3日

福岡県議会議長  久保 九州雄

衆議院議長    綿貫 民輔 殿
参議院議長    倉田 寛之 殿
内閣総理大臣   小泉 純一郎 殿
外務大臣      川口 順子 殿