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筋痛性脳脊髄炎(ME)/慢性疲労症候群(CFS)患者の支援を求める意見書

 筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(以下「ME/CFS」という。)は、健康に生活していた人が、ある日突然原因不明の激しい倦怠感に襲われ、それ以降、強度の疲労感とともに、微熱や頭痛、筋肉痛、脱力感や、思考力の障害、抑うつ等の精神神経症状などが長期にわたって続くため、健全な社会生活が送れなくなるという疾患である。1988年に米国疾病対策センターによりその報告が行われて以降、多くの国々で症例の存在が報告されている。
 日本においても、1999年の旧厚生省研究班による疫学調査に続き、2012年、厚生労働省CFS研究班が同一地域において再度疫学調査を実施したところ、CFS患者は0.1%という結果であった。このことにより日本におけるCFS患者数は8万人と指摘されており、指定難病の認定に向けた取組も始まっている。
 こうした中、日本医療研究開発機構(AMED)研究班により、2016年に臨床診断基準(案)が出されるなど、病因・病態の解明や治療法の開発が進められているが、今なお病因が特定されておらず、治療法も確立されていないため、患者は十分な治療が受けられない状況にあり、社会からの偏見や理解不足に苦しんでいる。患者は介護や就労支援等が必要であるにもかかわらず、障害者手帳取得のための指定医・認定機関に当該疾病の理解が不十分であることから障害認定を受けられないことも多く、福祉制度の谷間に置かれ、必要な福祉サービスや就労支援を受けられないのが現状である。また、若年者では学校生活を送ることが困難となり、教育を受けることを制限されてしまう深刻な状況も見られる。
 よって、国におかれては、ME/CFS患者の支援に向け、次の事項に取り組まれるよう強く要望する。
1 国の厚生労働省CFS研究班において、病因・病態を研究し、治療法を確立すること
2 ME/CFSの実態を医療・福祉・教育関係者や国民に周知するとともに、患者が全国どこでも診察及び治療を受けられる環境を整えること
3 日常生活や社会生活上制限があり、支援の必要性が認められる重症患者の実態に即した支援制度を確立すること
4 ME/CFS患者の社会復帰に向けた就労支援事業を整備すること

 以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。

  平成29年12月20日

福岡県議会議長 樋口明

 衆議院議長 大島理森 殿
 参議院議長 伊達忠一 殿
 内閣総理大臣 安倍晋三 殿
 文部科学大臣 林芳正 殿
 厚生労働大臣 加藤勝信 殿