トップページ > 本会議の情報 > 平成31年2月定例会 > 全面的国選付添人制度の実現を求める意見書

全面的国選付添人制度の実現を求める意見書

 少年審判における現行の国選付添人制度は、長期3年を超える懲役又は禁錮に当たる罪で、少年鑑別所送致の監護措置決定を受けた場合に、家庭裁判所の裁量により、少年に付添人が選任されることになっており、身体拘束を受けた全ての少年に国選付添人が付せられるわけではない。
 この点、成年の刑事事件については、昨年6月に施行された改正刑事訴訟法により制度が拡充され、勾留された全ての被疑者に国選弁護人が付せられることとなった。これにより、少年については、仮に被疑者段階で国選弁護人が選任されていても、その後家庭裁判所に送致された段階で前記要件を満たさなければ国選付添人が付せられないこととなり、被疑者段階に比して権利保護が後退してしまうという問題が生じている。
 もとより、成年に比べて未熟な少年の方が、より権利保護の観点からの必要性が高いことは自明の理である。
 また、現行の制度では、非行事実、すなわち罪名が国選付添人の選任要件とされているが、少年審判の審判対象は非行事実と要保護性であり、非行事実のみで審判結果が決まるわけではない。刑事事件と少年審判が別に設けられている趣旨からすればむしろ、少年審判においては要保護性の判断が特に重要であり、権利保護の観点からは法定刑の軽重によって国選付添人選任の要件に差異があるべきではない。
 よって、国におかれては、少年の健全育成という少年法の趣旨に合致するよう、現行の国選付添人制度を拡充し、少年鑑別所送致の監護措置決定により身体拘束された全ての少年についても国選付添人を選任する、全面的付添人制度の早期実現に向け、結論を急がれることを強く求める。

 以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。

  平成31年2月21日

福岡県議会議長 井上順吾

 衆議院議長 大島 理森 殿
 参議院議長 伊達 忠一 殿
 内閣総理大臣 安倍 晋三 殿
 法務大臣 山下 貴司 殿
 国家公安委員会委員長 山本 順三 殿