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シンポジウム「令和」の時代を考える

 令和元年5月31日、「シンポジウム『令和』の時代を考える」を「九州の自立を考える会」(会長:藏内勇夫議員)との共催にて福岡市内で開催し、県民の皆様をはじめ、多くの方にご参加いただきました。

 開会にあたり栗原渉議長は、「朝倉の甘木出身という自分の先輩でもある上野教授の講演を楽しみにしつつ、本日は、さらなる勉強をさせていただきたい。今、特に地方では、若年人口の流出で地域経済活力が奪われるなど、人口減少問題の影響が大きくなっているなか、『九州の自立を考える会』では、九州経済、地域づくりを活性化し、人口減少という大きな課題を克服して、九州から、わが国の新しい成長をリードしていくことを目指して、五つの柱、約30項目からなる総合的な成長戦略を提言された。そして、それらは次々に実現し、成果をあげている。『令和』という新しい時代も、県議会は、引き続き『九州の自立を考える会』の藏内勇夫会長との連携の下、九州各県議会とも協力して、国に対し、地方創生の確実な実現に向け、必要な財源の確保や所要の政策の実施を求めていく」と挨拶いたしました。


栗原渉議長 主催者挨拶
栗原渉議長 主催者挨拶

 また、「九州の自立を考える会」の藏内勇夫会長からは、「万葉集研究の第一人者である上野教授に、『令和』という言葉の時代背景や『令和』という時代を迎えて何を考えていかなければならないのかということのお話を頂戴したいとお願いしたところ、快くお引き受け頂いた。我々『九州の自立を考える会』は、世の中が大きく変わるなかで140年前にできた47都道府県という統治システムには何の変化もないという世界的に見ても極めて珍しい状況で、わが国のこの行き詰まりをどうすれば打破できるかということを考えた時に、これまでのピラミッド・富士山型の中央集権ではもうやっていけないということに行き着いて、九州が一体となって九州から日本を支える時代をつくり、全国に波及させていくというアルプス型の日本をつくるための模索を行っている。この度、『令和』という時代を迎え、この言葉が福岡県の大宰府に縁のある万葉集の歌の序文から引用されたことから、こういったものを対象として、今後我々は、この時代をどう生き抜くか、どう九州の発展に資するかを考えるためのシンポジウムである。『令和』という時代と言葉が広く福岡県民に慕われ、夢多き福岡県、そして九州づくりにつながるような時代になるように願っている」との挨拶がありました。


藏内勇夫会長 主催者挨拶
藏内勇夫会長 主催者挨拶

 主催者の挨拶に続いて来賓挨拶があり、大曲昭恵福岡県副知事からは、「本県の観光振興政策は、『九州の自立を考える会』による福岡、九州の発展のための素晴らしい提言をもとに進めてきた結果、今は海外から多くの方々に来ていただいており、今後、この成果を県内各地に広げていくことが課題であり、そのための財源として宿泊税の検討を進めてきたが、県と市それぞれが課税することで調整がついた。これも同会の皆様のご指導・ご尽力によるもので感謝する。今後は、この財源をどのように使い、いかしていくかについて、福岡市を含めた県内各自治体・関係団体の皆様からのニーズやご意見を十分踏まえて進めていくが、これからも同会のご助言を何卒よろしくお願いする。古代ということでは、大宰府だけでなく、例えば、筑紫君磐井という中央政府よりも優れた武将がいたように、地方の方々が活躍した時代。このような歴史ロマンや中国、韓国との関係の深さを磨いていきたい」との挨拶を頂きました。


大曲昭恵福岡県副知事 来賓挨拶
大曲昭恵福岡県副知事 来賓挨拶

  そして、楠田大蔵太宰府市長からも、「太宰府市は、新元号『令和』に大きなご縁を頂いており、改めてわが国の政治・外交・防衛の要衝であった1300年を超える歴史に注目頂いている。この頂いた機会を最大限にいかして、福岡、さらには九州自立の牽引役としての役割を果たせるよう全力をあげていく」との挨拶がありました。


楠田大蔵太宰府市長 来賓挨拶
楠田大蔵太宰府市長 来賓挨拶

  基調講演は、奈良大学文学部の上野誠教授をお迎えし、「新元号『令和』の希求するもの─万葉の世界─」と題して、「令和」のもとになった万葉集の序文を中心に講演が行われました。「初春の令月にして気淑(よ)く風和(やわら)ぐ」とは、「平和な風景、花見や田園・庭園、人生は短い、遊びこそが大切であり、心の平和こそ大切である。外を意識し、内なるものを見る東洋の実在主義だ」と解説されました。そして最後に、心の平安、足元を見つめる心と世界に目を開く心の大切さ、大宰府は都から見ると鄙(ひな)の地であるが、鄙が元気でなくてはならないと熱く語られ講演を終えられました。


上野誠 奈良大学文学部教授
上野誠 奈良大学文学部教授
会場の様子
会場の様子

 その後の座談会では、上野教授とともに、九州国立博物館の島谷弘幸館長、大曲福岡県副知事に登壇いただき、「令和」への思いと太宰府との縁をいかして、今後、この歴史的価値をどのように発信し、地域の活性化、あるいは文化の振興などの課題に取り組んでいくべきか、について議論されました。


(左から)大曲副知事 上野教授 島谷館長
(左から)大曲副知事 上野教授 島谷館長

 最後に、全員で「初春の令月にして気淑(よ)く風和(やわら)ぐ」を唱和し、和やかな雰囲気でシンポジウムは終了しました。