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令和2年6月定例会の知事議案説明要旨

当初提出議案(令和2年6月5日)

 本日ここに、第7回福岡県議会定例会を招集いたしましたところ、議員の皆様におかれましては、ご参集いただき、厚くお礼申し上げます。

 はじめに、新型コロナウイルス感染症により、お亡くなりになられた方々に対し深く哀悼の意を表し、今も闘病生活を送られている方々の1日も早い回復をお待ち申し上げます。
 5月14日、本県に対する緊急事態宣言が解除されました。これまで、多くの県民、事業者の皆様にご理解、ご協力いただき、皆様の思いと行動がこの結果につながりました。感謝を申し上げます。
 また、最前線で奮闘いただいている医師、看護師をはじめとする医療従事者の皆様、様々な現場で社会を支えていただいている皆様に、改めて敬意を表し、感謝を申し上げます。
 緊急事態宣言の解除後の感染状況は、落ち着いた状況を見せておりましたが、5月23日以降、北九州市での感染者が急増しております。
 県では、再度感染が拡大する場合に備えて、医療提供体制確保の準備に入るための独自の指標である「福岡コロナ警報」を設定しております。この指標に照らして、感染の現状をみると、現段階では、県全体で、医療提供体制の確保の準備に入るレベルには至っておらず、医療提供体制も余力がある状態にあります。
 このため、北九州市の感染を断固封じ込め、全県下に広がり第2波となることを食い止めながら、一方で、社会経済活動のレベルを徐々に引き上げてまいります。
 北九州市の市民、そして事業者の皆様にはご不便をおかけしますが、不要不急の外出の自粛、接待を伴う飲食店、ライブハウスの2業種の休業について、引き続き、ご協力をお願いします。
 また、すべての県民の皆様には、外出の際、その目的地の感染状況を踏まえ、慎重な対応を行っていただくこと、感染防止策が不十分な場所への外出を避けていただくこと、「マスクの着用」「手洗い」「身体的距離の確保」「3密の回避」など、感染拡大を予防する「新しい生活様式」を実践していただくこと、そして、事業者の皆様には、徹底した感染防止策を確実に講じていただくことを改めてお願いします。
 このコロナとの戦いに打ち勝つか否かは、県民の皆様お1人お1人の意識と行動にかかっており、改めて、地域の力と結束が問われます。これまでの努力が水泡に帰すことがないよう、県民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。
 この議会に提案いたしております議案は、14件であります。その内訳は、予算議案1件、条例議案5件、工事請負契約の締結に関する議案5件、財産の取得に関する議案1件、人事に関する議案2件であります。

 まず、予算議案について、ご説明申し上げます。
 今回の補正予算は、新型コロナウイルス感染症対策に要する経費のほか、平成29年の九州北部豪雨で被災した日田彦山線沿線地域の振興に必要な経費を措置しております。
 補正予算の額は、一般会計で214億4100万円余となっております。これによって、一般会計の総額は、1兆9438億2100万円余となります。
 一般会計の歳入は、国庫支出金、基金繰入金などの特定財源のほか、「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」を計上しております。

 次に、補正予算の主な項目について、ご説明申し上げます。
 まず、新型コロナウイルス感染症対策であります。
 失業等により収入が減少し生活に困っている方を支援するため、その一時的な生計を維持する生活福祉資金の原資を増額するための経費を措置しております。
 学生、留学生を含め、働く場を失った方を支援するため、7000人の緊急短期雇用を創出するための経費を措置しております。
 県においては、介護サービス事業所等における介護業務補助、県立学校における奨学給付金支給、遠隔教育等の事務補助、園芸農業における野菜、果樹等の農作業補助などについて、また、市町村においては、中小企業に対する支援金支給の事務補助、小中学校、保育所における消毒作業などについて、雇用創出を行います。
 医療提供体制を強化するため、医療機関へ追加配布するマスク300万枚、医療用ガウン11万着の購入経費及び軽症者等の療養生活を支援する宿泊施設を引き続き確保するための経費を計上したほか、PCR検査に要する時間を短縮する新たな検査試薬キットや感染経路の解析を行う機器を県保健環境研究所に導入する経費を措置しております。
 また、感染症に関する不安や疑問に対応するためのコールセンターの相談員の増員及び「ふくおか自殺予防ホットライン」の回線増設に要する経費を計上しております。
 さらに、医療従事者への応援を呼び掛けるほか、感染症に起因する偏見や差別をなくすため、テレビ、新聞、SNS等を活用した広報に要する経費を計上しております。
 そのほか、学校の臨時休業等に伴い、子どもの受入れを行う放課後児童クラブ及び放課後等デイサービスに対し、追加で発生する運営費を助成します。
 なお、国の令和2年度第2次補正予算を活用した補正予算の編成作業を行っており、これがまとまり次第、関係予算を本議会に追加提案したいと考えております。

 次に、日田彦山線沿線地域の振興であります。
 日田彦山線の復旧方針については、東峰村の澁谷村長が、東峰村として「彦山駅から宝珠山駅までを専用道とするBRTによる復旧案」を受け入れる旨、表明されました。東峰村の皆様にとって、厳しい苦渋の選択だったと思います。また、添田町の寺西町長もBRTで復旧するというこの案について、ご了承をいただきました。それぞれ方針を取りまとめていただいた村長、村議会、町長、町議会をはじめ、住民の皆様に改めて感謝を申し上げます。これまでお力添えをいただいた県議会、「九州の自立を考える会」の皆様に改めて厚くお礼申し上げます。
 これまでの経緯、そして東峰村、添田町のご決断の重みをしっかりと受け止め、1日も早い復旧を成し遂げるべく、今月2日、栗原議長とともにJR九州を訪れ、青柳社長に対し、この復旧案の早期実現及び沿線地域の振興について要請を行ったところです。引き続き、JR九州との協議に全力を尽くしてまいります。併せて、地域の皆様、県議会の皆様と一緒になって沿線地域の観光振興、経済の活性化など地域振興に取り組んでまいります。
 今後、沿線地域の振興を長期的かつ安定的に推進するため、10億円の基金を創設し、息の長い支援を行ってまいります。

 このほか、感染拡大防止の観点から中止、延期などを行った事業に係る経費を減額することとしております。
 以上が補正予算の概要であります。

 次に、条例議案について、ご説明申し上げます。
 第一は、「福岡県日田彦山線沿線地域振興基金条例」の制定であります。先ほど申し上げましたとおり、東峰村及び添田町の地域振興を長期的かつ安定的に推進するため、「福岡県日田彦山線沿線地域振興基金」を設置するものであります。

 第二は、「福岡県税条例の一部を改正する条例」の制定であります。「地方税法」の一部改正に伴い、自動車税環境性能割に係る臨時的軽減措置の延長について定めるほか、所要の規定の整備を行うものであります。

 第三は、「地方活力向上地域における福岡県税の不均一課税に関する条例の一部を改正する条例」の制定であります。本社機能の誘致を促進するため、法人事業税及び不動産取得税の不均一の課税を行うことについて、その適用期限を2年間延長するものであります。

 そのほか、関係法令の一部改正に伴い所要の規定の整備を行う条例2件であります。

 工事請負契約の締結に関する議案は、主要地方道甘木田主丸線両筑橋下部工建設工事について契約を締結するもの及び二級河川御笠川水系高尾川地下河川築造工事ほか3件について議決内容の一部を変更するものであります。

 財産の取得に関する議案は、抗インフルエンザウイルス薬を取得するに当たり、県議会の議決を求めるものであります。

 人事に関する議案は、福岡県教育委員会委員並びに福岡県収用委員会の委員及び予備委員の任命について、県議会の同意を求めるものであります。

 以上、提出議案の概要についてご説明申し上げましたが、いずれの議案も県政運営上緊要なものでありますので、慎重ご審議の上、議決下さいますようお願い申し上げます。

追加提出議案(令和2年6月12日)

 本日、追加提案いたしました議案は、予算議案1件であります。

 今回の補正予算は、国の第2次補正予算を最大限活用し、新型コロナウイルス感染症対策に必要な経費を追加するものであります。

 補正予算の額は、一般会計で1445億5900万円余であります。これによって、一般会計の総額は2兆883億8000万円余となります。

 一般会計の歳入は、国庫支出金及び諸収入の特定財源のほか、「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」を計上しております。

  次に、補正予算の主な項目について、ご説明申し上げます。
 第一は、「医療提供体制等の強化と感染防止対策の徹底」であります。
 感染症患者と接する医療従事者、感染した入所者と接する介護サービス事業所、障がい福祉サービス事業所等の職員に対し、1人あたり最大20万円の慰労金を支給するための経費を計上しております。
 医療提供体制を強化するため、感染症患者専用の病棟を有する病院に入院病床200床を確保するための経費及び同病院が行う高度医療に係る設備の整備に対する助成費を計上したほか、救急病院等が行う簡易陰圧装置等の整備に対する助成費を措置しております。
 不安を抱える妊婦を支援するため、分娩前に実施するPCR検査に対する助成費を計上しました。
 介護サービス、障がい福祉サービスの再開を支援するため、事業者が行うニーズ調査等に対する助成費を措置しております。
 感染防止対策を徹底するため、保育所、幼稚園、介護サービス事業所等が行うマスクや消毒液等の購入に対する助成費を計上しております。
 また、地域鉄道、乗合バス及びタクシー事業者が行う仕切りカーテンの設置や車内消毒などの感染防止対策に対する助成費を措置しております。
 第二は、「事業継続の支援」であります。
 売上げの急減に直面する事業者の事業継続を下支えするため、「福岡県家賃軽減支援金」を創設いたします。その内容は、国の「家賃支援給付金」の対象となる事業者に対し、県独自の給付率の嵩上げを実施するとともに、休業要請に協力いただいている北九州市の接待を伴う飲食店及びライブハウスの2業種に対し、家賃の1割の特例加算を行います。
 また、県制度融資に創設した無利子、無担保の「新型コロナウイルス感染症対応資金」及び県が保証料を全額肩代わりする「緊急経済対策資金」、それぞれの融資枠を拡大します。
 経営革新に取り組む中小企業が行う消毒、換気設備の導入など感染防止対策に対する助成費を措置しております。
 出荷量が大幅に減少している県産酒の消費を拡大するため、酒販店の通販サイトを活用した県産酒応援セットの販売に対する助成費、県産酒を取り扱う飲食店を「福岡の地酒応援の店」として登録し、PRするための経費を計上しております。
 生活に困っている方への支援として、ひとり親世帯に対する臨時特別給付金を計上したほか、県立3大学及び私立専門学校が行う授業料等の減免に対する助成費を措置しております。
 このほか、再開する学校を支援するため、児童生徒のサポートを行う学習指導員の配置に要する経費を計上しております。

 第三は、「『新しい生活様式』を踏まえた地域経済の活性化」であります。
 観光振興では、九州在住者を対象とした「福岡の魅力再発見」キャンペーンの実施に要する経費を計上しております。本県の宿泊施設を利用する旅行者の宿泊料金、県内を周遊する旅行者のレンタカー代の割引支援を実施するほか、県内周遊促進プロモーションを実施します。
 また、商工会議所・商工会等が行うプレミアム付き地域商品券の発行規模を拡大するための助成費を措置しております。
 さらに、県立美術館が所蔵する美術品をインターネットで鑑賞できる「バーチャル美術館」の開設に要する経費を計上したほか、県職員の在宅勤務に必要なモバイル端末及び県警察におけるウェブ会議システムの導入に必要なカメラの整備費を措置しております。

 以上、提出議案の概要についてご説明申し上げましたが、県政運営上緊要なものでありますので、慎重ご審議の上、議決下さいますようお願い申し上げます。